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コラム・インタビュー

電子カルテのシステム、安易なセレクトでは後悔も...導入時に検討すべき「7つの視点」

医療機器・システム
ウィーメックス株式会社 ヘルスケアIT事業部 土屋 哲史

医療現場にも押し寄せるDX化の波。なかでも「電子カルテ」は厚生労働省の肝いりで導入が促されています。とはいえ、多くのメーカーが提供するシステムをすべて精査することは不可能であり、多忙なドクターは、担当者の簡単なデモンストレーションや初期費用といったわずかな情報のみで導入を決めてしまいがちです。しかし、この行動がのちのちの後悔につながるリスクがあるのです。

「専門特化型」か「汎用型」か? 「オンプレミス型」か「クラウド型」か?

現在、電子カルテのメーカー数は数十社以上あり、各社が異なる仕様でサービスを提供しています(『医療現場に押し寄せる「DX化」の波...それでも電子カルテの導入が目標に到達しない理由とは?』参照)。しかし、細分化されたそれぞれの仕様にも、主に2つの軸が存在します。

まず「専門特化型」か「汎用型」か。そしてもうひとつが、「オンプレミス型」か「クラウド型」か、というものです。

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「専門特化型」になりやすいのは、眼科のように診療スタイルが固有な領域で、「汎用型」になりやすいのが、内科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、整形外科といった領域です。

「オンプレミス型」とは、従来のパソコンのハードウェアに提供されたアプリケーションを装備したものです。病院内や診療所内にサーバーや専用機器を設置して運用します。「クラウド型」はハードウェアを選ばず、クラウド上に格納された情報にどこからでもアクセスできるという特徴をもちます。

現在稼働している電子カルテはオンプレミス型の方が多いと言われておりますが、今後はクラウド型へのシフトが予想されます。

クラウド型とオンプレミス型、それぞれのメリット・デメリット

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クラウド型とオンプレミス型は、それぞれメリット、デメリットがあります。

オンプレミス型は、ドクターが使いやすいようにカスタマイズすることが可能です。また、データが手元にあることから、通信障害が発生した場合も、データの閲覧に懸念が生じることはありません。一方で、導入のコストが大きいこと、ドクターが院外から自由にデータを参照することができないという点はデメリットです。

オンプレミス型のメリット・デメリットは、クラウド型のメリット・デメリットと鏡合わせだといえます。

クラウド型の場合、診療所内にサーバーを設置する必要がないことから、初期導入コストが割安です。また、ネットに接続できる環境があれば、どこからでもクラウド内のデータにアクセスできます。今後、訪問診療が増えてくるような状況になれば、クラウド型電子カルテの利便性が評価されると思われるほか、薬剤師やケアマネジャー等との情報共有や連携も容易になるでしょう。

一方、ネット環境がなければ使えないという点はデメリットです。訪問診療先の接続環境が悪ければストレスになりますし、なにより、ネットの障害が発生したら閲覧は不可能となり、診療に不都合が生じます。また、性質上、診療所ごとのカスタマイズも難しいといえます。 初期導入費用は割安でも、月々の使用料を考えると、長期間使用した場合にオンプレミス型に比べて割安かどうか、現状においてはなんとも判断できません。

このようにクラウド型、オンプレミス型のいずれにもメリット、デメリットがあるので、それを比較したうえで電子カルテメーカーを選ぶ必要があります。

電子カルテメーカーを選ぶための「7つの視点」

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以上を踏まえたうえで、電子カルテメーカーを選ぶにあたり、私たちは下記の「7つの視点」をまとめ、ドクターの皆様にご提案しています。

  • サーバーをどこに置くのか...クラウド型か、オンプレミス型か。
  • 機能・スペックは必要十分か...要求する機能が備わっているかどうか、標準機能とオプション機能の違い。
  • 操作性に難はないか...クリック数が多くないか。画面構成は慣れ親しんだ2号用紙に近いか。
  • レセコンは一体型か...レセコン一体型か、レセコン連動型か。レセプト点検機能は役立ちそうか。
  • サポート対応・体制は十分か...導入前・導入後のサポートは十分か。診療報酬の算定について相談できるか。
  • コストは適正か...初期費用と月額費用は適正か。更新にかかる頻度・費用は確認したか。
  • システム連携の実績はあるか...導入予定の機器との連携実績はあるか。連携の内容は運用にメリットをもたらすか。

現在、一般診療所における電子カルテの普及率は49.9%ですが、実際のところ、新規参入してきた電子カルテメーカーも、古くからこの分野に参入している電子カルテメーカーも、機能面でそこまで大きな開きはありません。

重要になってくるのは、さまざまな場面で、メーカーの適切なサポートが受けられるかどうかです。

診療所にとって、電子カルテメーカーとの付き合いは長いものになります。その点から、とくに⑦で取り上げた、これから導入する予定の機器との連携実績の有無のほか、実際に運用するうえで足かせにならないか、拡張性はあるかといった点も、しっかりと見極める必要があります。

電子カルテが導入されるようになって間もないころは、メーカー側もドクターへ複数回のデモを実施していました。デモを繰り返すことによって疑問点や不明点をあぶり出し、運用の課題や問題を綿密に洗い出していたのです。

しかし最近では、このようなプロセスを経て導入を促すメーカーは減少傾向です。クラウド型の場合は〈無料お試し期間〉を設けているところもあり、お試し期間からそのままなりゆきで導入するケースも見られます。

このような安直な決め方をしてしまうと、あとから運用面の問題が露呈することになりかねません。まずは電子カルテメーカーの担当者と密接にコミュニケーションをとり、システム連携の実績に加え、サポート対応・体制がしっかりしているかどうかまでチェックすることが重要なのです。

ウィーメックス株式会社 ヘルスケアIT事業部
土屋 哲史

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