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コラム・インタビュー

一級建築士が解説! 診療科目別・クリニックの内装の留意点【眼科編】

土地・建物・内装
株式会社Metal Design

クリニックを運営するにあたり、診療科目に適した設計や内装が必要です。診療科目ごとに注意すべき点とは何か、クリニックの建設に詳しい建築士が解説します。今回のテーマは「眼科」です。

年齢層が幅広い、眼科クリニックの患者様

眼科のクリニックの場合、患者様はお子さんからご高齢者の方までと幅広く、さらに検査室、診察室、待合室間の移動が多いという特徴があります。そのため、内装はバリアフリーに重点を置くことが大前提です。

また、患者様は視力が悪い方が多いので、検査室や診察室のサインも明瞭でわかりやすいものとする必要があるでしょう。

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内装の素材にも注意が必要です。視力の悪い方が多いので、転倒事故等を防ぐ視認性のよさに留意すべきで、その点からは、デザイン性よりも安全性を優先する内装がベターだと考えています。

「手術室をどうするか」という大問題

なにより、眼科の内装を決めるうえで考えなければいけないのが「手術室の有無」です。

眼科クリニックは手術室を設けるかどうかで、物件選びの段階から大きく異なってきます。手術室を設ける場合、60平米から100平米程度の広さを加えて見込む必要があります。

手術室を設置する場合は広いスペースが必要になることから、立地も都心部より郊外となるケースが多い印象です。開業してから手術室を増設することはむずかしく、構想段階からよく考慮のうえ計画を進めることをおすすめします。

また、手術室を作る場合は、術前の準備室や術後のリカバリー室も必ずセットで配置します。その点も含めてレイアウトを考えますが、同時に、手術日に外来の患者様を受け入れるかどうかによっても変わってきます。

手術室の問題だけでなく、将来的な機器の導入を見越して検査室のスペースを広めに取る、コンセントも多めに作るなど、長期的な計画に対応できるよう備えておくことが大切です。

眼科クリニックでは「裏動線」は使わない

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眼科とほかの科との大きな違いとして、患者様やスタッフの動線があげられます。

一般的な眼科のレイアウトは、広い検査室を中心として、周囲に処置室や診察室を配置するパターンが多く、その場合は、患者様の動線も、検査室を通って各所へ移動する流れを想定しています。検査室を半オープンのスペースと位置づけることで、そのようなレイアウトが効率的になるのです。

また、眼科には内科のようなスタッフの裏動線もありません。基本的に、眼科のスタッフは検査室の患者様から見える範囲で動いています。昔の眼科の場合は、ほかの診療科と同様に仕切りがあり、検査室や処置室などに分けられていましたが、最近はオープンなレイアウトが主流となっています。

もちろん、なかには裏動線のあるクリニックもあると思いますが、近年ではあまり一般的ではないでしょう。

このようなレイアウトが広く浸透した理由として、眼科の場合、ほかの科ほど患者様のプライバシーに配慮する必要がないという点があるように思います。たとえば内科なら、採尿などがあることから、スタッフ用の裏動線を作る必要性が出てきますが、眼科にはそのような検査項目は多くありません。

スタッフルームの縮小傾向も、レイアウトに影響か

眼科に限りませんが、現在はどのクリニックでも広いスタッフルームを作らない傾向があります。

以前は、食事が取れるほどの広さのスタッフルームを設置するクリニックが多かったのですが、最近では更衣室程度のサイズのスタッフルームが一般的です。

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個人的な見解ですが、このような傾向は、スタッフ間のコミュニケーションの変化によるところが大きいのではと思います。スマートフォンの普及もあり、休憩時はスタッフ間でコミュニケーションするより、各自が気ままに過ごしたいと考えているのではないでしょうか。

余談ですが、以前は一般的だった院長室も、最近は希望する先生があまりいらっしゃいません。一般企業でも役職者専用のスペースを作らず、フリーアドレスとするところも増えていますので、おそらくそれと同じような流れなのでしょう。

スペースにゆとりのある設計を

眼科の内装・レイアウトを考えるうえでは、院長先生の将来的な展望がなにより重要となります。今後どのような機械を導入したいのか、クリニックの規模をどうしたいのかを考えたとき、自ずと確保すべきスペースが決まり、立地も絞られてきます。

クリニックは簡単には引っ越せませんから、現状の検査機器などでギリギリの状態にしてしまうと、新しい機器類の追加導入ができず、収益を得る機会を損なってしまうかもしれません。

とはいえ、広いスペースを確保するには当然ながら資金が必要なので、今後の展望とプラン、さまざまなリスクを見据えたうえで、いいさじ加減で調整をする必要があります。

着実に結果を出すためにも、「将来どうしたいか」を院長先生自身がしっかり考え、具体的な計画を描いておくことが、眼科クリニックにおいてはとくに重要だといえます。

株式会社Metal Design

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