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コラム・インタビュー

一級建築士が解説! 診療科目別・クリニックの内装の留意点【小児科編】

土地・建物・内装
株式会社Metal Design

クリニックを運営するにあたり、診療科目に適した設計や内装が必要です。診療科目ごとに注意すべき点とは何か、クリニックの建設に詳しい建築士が解説します。今回のテーマは「小児科」です。

小児科はゆとりあるレイアウトが望ましい

小児科は、患者様であるお子さんと保護者の方が一緒に来院されることが前提です。

そのため、待合室は子どもと大人が一緒に待てる、ゆとりあるスペースの確保が大切になります。小児科には、ベビーカーを使用される方はもちろん、お子さんを2人連れて来院される方もいらっしゃることから、ほかの診療科よりもその点に注意が必要なのです。

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お手洗いには、おむつ交換できるスペースの確保や、子ども用便器の設置といった配慮も求められます。さらにいうなら、自動ドアの設置、自動水洗のトイレの設置があると、来院される方の負担が一層軽減できます。

キッズスペースの確保も大切です。小児科の先生のなかには、入り口からすぐ目につく場所へキッズスペースをレイアウトし、おもちゃや本を取りそろえるだけでなく、映像が見られるシステムを設けるなどのこだわりを見せる方も少なくありません。

キッズスペースの広さは、待合室の面積の3割程度がひとつの目安ですが、狭い待合室であっても、狭いなりに確保しておくのがお勧めです。

ほかの診療科より「明るさ」「見通しのよさ」を重視すべきワケ

小児科は、患者様であるお子さんに安心感を持ってもらうことが重要です。

お子さんは暗い場所に不安を覚え、明るい場所に安心する傾向があることから、いかに採光(=屋外の光)をよくするかが小児科クリニック建設のポイントでもあります。

ビル内のオフィス型なのか、それとも戸建型なのかはケースバイケースですが、いずれにしろ、できるだけ光を取り入れられる場所を選ぶのがよいと思います。

もうひとつ重要なのが、クリニック内の見通しのよさです。病気のお子さんでも大人しくしているとは限らず、また、一緒に来院した元気な兄弟姉妹があちこち動き回ることも考えられます。そのため、スタッフがお子さんの安全を見守れるよう、目が届きやすく死角の少ないレイアウトにすることが、とても大切だといえます。

保護者の方が問診表などを記入しているときは、どうしてもお子さんから目を離すことになるので、スタッフの目が行き届きやすい位置に受付を配置するほか、待合室の椅子やドアのレイアウトも工夫が必要です。

発熱症状が多い小児科...「隔離室」の設置が望ましい

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小児科の来院で最も多い症状は発熱だといわれています。お子さんの場合はさまざまな感染症のリスクがあるうえ、コロナ禍を経て隔離室の必要度は高まっており、設計をする側としても設置をお勧めしています。

発熱以外の症状の患者様を考慮するなら、発熱患者とそれ以外の患者様の動線を分けるなどして、安心していただくことも重要です。

隔離室をカーテン1枚で遮るクリニックもありますが、それだけでは患者様同士が同じ空間にいるのと変わりません。部屋そのものが隔離されていれば、清浄機などの使用で菌やウイルスを極力外に出さないようにできるので、隔離室の設置は一考してほしいポイントです。

柔らかめの素材でケガを防止する

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小児科の場合は、内装の素材選びもほかの診療科目にくらべて重要です。

動きが読めない小さなお子さんが来院されますので、ぶつかったり転んだりしてもケガをしにくい、柔らかい素材を使うのがベターでしょう。

たとえば床面なら、滑りにくく、かつ柔らかいものをチョイスします。柔らかい素材は、ベビーカーや車いすが通ると跡がつくなど、デメリットもありますが、筆者は安全面から、硬めの素材より柔らかめの素材をおすすめしています。

設置するソファーなども、角のないデザインで、柔らかい材質のものを選択したいところです。

視覚的な点では、清潔感や明るさ、親しみやすさが感じられることも重要です。そのため、素材や柄を可愛らしいポップな印象のもの、あるいはナチュラルテイストのものにする先生方が多い傾向です。

まずは優先順位を明確にする

とはいえ、予算にもスペースにも上限があります。そのため、なにを優先するべきかを決めておくことが大切です。

たとえば、診察で食事指導まで行う先生も、発熱や緊急対応に力を入れる先生もいます。

我々建築士は、開業される先生方にヒアリングし、重要視するポイントを明確にしたうえで優先順位をつけ、そのなかで最善を尽くして設計・建築を行います。

広いスペースが確保できなくても、天井のクロスの色で開放感を出すなど、レイアウトや配色でカバーする方法はあります。

かつてはクリニックといえば、どの診療科もリノリウムの床にビニール素材のソファーといった、画一的な内装・インテリアがほとんどでした。

しかし近年では、デザインにこだわる先生も増え、絵や水槽を活用するなどの演出もよく見かけます。

それらはひとえに、クリニックの先生やスタッフの方々の「患者様ファースト」の気持ちの表明であるといえるのではないでしょうか。そしてまた、温かい気持ちがレイアウトデザインを通じて患者様へ届くことで、地域に根ざす、愛されるクリニックになっていくのではと考えています。

株式会社Metal Design

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