コラム・インタビュー
クリニックの開業とその後を支援する補助金・助成金...どんな制度がある?

補助金や助成金は、開業時とその後のクリニック運営を支援し、より良い医療環境を構築する手助けとなります。しかし、実際にどのような制度があり、どういった補助金・助成金が利用できるのかが気になるところです。ここでは、クリニックの開業と持続可能な経営をサポートするさまざまな補助金・助成金を紹介していきます。
クリニック開業で役立つ補助金・助成金
クリニックや医院の開業時に利用できる補助金・助成金には、以下の3つがあります。
それぞれについて紹介していきます。
創業補助金
開業などの際に必要な経費の一部を国や地方公共団体が補助してくれる制度です。
創業補助金を受け取ることで、クリニック開業初期の経費や設備投資などに活用することができます。
補助額の上限は200万円で、補助率は1/2以内となっています。
基本的に返済は不要ですが、一定期間内に利益が出た場合には返還が必要な場合もあります。
受給するためには、下記の3つの要件を満たしていることが必要です。
事業の遂行に必要なことが明確な経費
交付決定日以降、補助事業期間内の契約・発注により発生した経費
証拠書類から金額・支払いなどが確認できる経費
申請期間も毎年異なるため、利用を検討する際は中小企業庁のホームページで確認しておきましょう。
事業承継・引継ぎ補助金
中小企業や小規模事業者の経営者が交代する際に、新しい経営者がスムーズに事業を引き継ぐための支援制度です。
例えば、医院やクリニックの経営者が後継者に引き継がれる場合などに活用できます。
補助は経営革新と専門家活用の2つに分かれ、補助率も1/2から2/3まで異なり、それぞれ上限額が設けられています。
この補助金で、引き継ぎに関するコンサルティング費や人材育成費などに充てることも可能です。
引き継ぎのプロセスを円滑に進め、医業の継続を維持するための支援に期待できるでしょう。
詳細については、経済産業省・中小企業庁のサイトをご確認ください。
トライアル雇用助成金
なかなか職に就けない求職者を、ハローワークなどを介して一定期間雇用した場合に支給される助成金です。
事務員や清掃スタッフなど、クリニック開業時に新たな人材を雇用する際に役立ちます。
助成額は1人あたり月額4万円で、最長3ヵ月間支給されます。
受給条件としては、週の労働時間が30時間以上で、一定期間に解雇をしていない事業者が対象となります。
この助成金を雇用対象者の賃金や社会保険料の一部に充てることで、開業初期の出費を抑えながら新しい雇用を試すことができます。
クリニック開業後を支援する補助金・助成金
クリニックを開業した後も、運営を支援する制度として以下の補助金・助成金を利用することができます。
それぞれについて紹介していきます。
IT導入補助金
ITツールを導入する企業に対して、経費の一部を補助することを目的とした補助金制度です。
医療分野でも情報技術の整備が進みつつあり、この補助金を充てることで、クリニックのIT化に役立ちます。
具体的には、電子カルテ、診療支援システム、POSレジといったIT機器やシステムの導入に活かすことが可能です。
補助額は最大400万円で、補助率は1/2から3/4となっていますが、詳細はIT導入補助金のウェブサイトで確認できます。
医療情報の共有や管理が効率化されることは、患者の医療における安全性と質の向上につながるでしょう。
ものづくり補助金
革新的サービスの開発や生産プロセスの改善を目的とした補助金ですが、医療機器の導入・改善にも活用できます。
補助額は従業員の人数によって異なり、最大で1250万円の受給が可能です。
この補助金を得ることで、クリニック開業後でも新たな医療機器や先進的な医療技術を整備しやすくなるでしょう。
詳しくは中小企業庁のウェブサイトで確認できます。
事業再構築補助金
ポストコロナ時代の対応として、当面の需要や売り上げが回復しにくい中小企業の事業再構築を支援する制度です。
事業再編や新たな展開に取り組む医療機関でも補助を受けられます。
医業が何らかの影響を受けた場合に、再度の立ち上げや改善を行うための財政的支援を得られます。
特に、開業後の需要や収益の減少に直面するクリニックにとっては、有用な補助となるでしょう。
こちらも従業員数によって補助上限額が異なるので、申請の際はウェブサイトでの確認が必要です。
医療施設等施設設備費補助金
へき地医療の確保や臨床研修医の環境整備を目的とした補助金です。
へき地診療所や特定診療所など、10の事業が対象となります。
補助率や補助額は事業によって異なり、厚生労働省のウェブサイトで詳細を確認できます。
該当する医療施設や事業に対応していれば、受給申請が可能です。
キャリアアップ助成金
パートやアルバイト、派遣社員などの非正規雇用労働者の待遇改善に取り組んでいる事業主が受給できる助成金です。
支給額の一例として、正社員化コースで1人あたり36万〜72万円、健康診断制度コースでは1事業所あたり38万〜48万円となっています。
クリニックの場合、看護助手や事務スタッフとして採用した人材を正社員化することで人件費に充てることができます。
医療従事者に向けた健康診断制度の導入や賃金規定等の改定により、従業員のモチベーション向上と労働力の安定につながります。
支給対象になる事業主には条件があるため、詳細は厚生労働省のウェブサイトをご覧ください。
人材開発支援助成金
この制度は正規雇用労働者のスキル向上を支援することが目的です。
OJTやOFF-JTを行う事業主が対象で、従業員に対して職務に関連した知識や技能を習得させるための助成制度となります。 特定訓練コースや一般訓練コースなど9つのコースがあり、それぞれのコースによって支給額と要件が設定されています。
クリニックや医院がこの制度を利用し、人材育成に積極的に取り組むことで、より質の高い医療サービスの基盤を整えることができます。
例えば、OJTや専門的な研修を通じて、医療スタッフが学んだ新しい医療技術・ケア方法などは、患者への医療に還元されるでしょう。
地域雇用開発助成金
雇用機会が不足している地域に事業所を設置し、その地域に住む求職者を雇用する場合に支給されます。
助成額は、事業所の設置・整備費と雇用者数に応じて50万〜800万円となっており、1年ごとに3回まで受給可能です。
建物の整備に伴う費用を一部補填できるだけでなく、地域医療のニーズに対応した診療スタイルも視野に入ります。
開業後も地域との連携や雇用創出に取り組むことで、地域に根ざしたクリニックとしての評価が高まるでしょう。
職場定着支援助成金
職場の環境改善や職員の定着率改善を目的にした助成金で、目標達成助成と制度導入助成に分かれています。
目標達成助成の最大額は75万円で、制度導入助成は10万円となっています。
例えば、研修制度や健康づくり制度、評価・処遇制度などの導入が対象です。
開業後も、働きやすい環境整備や福利厚生の向上など、医療スタッフが長く安心して働ける職場を目指すことは大切です。
定着率の目標達成は、クリニックの安定的な運営につながります。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
高齢や障がいによる就職困難者を、ハローワークなどの紹介によって、継続的に雇い入れる事業主に助成される制度です。
支給額と助成対象期間は、障がいの種類や程度、短時間労働者かどうかで異なります。
人材の多様性を尊重した雇用により、医業を通じて社会的貢献を果たしつつ、幅広い価値観も他のスタッフと共有できます。
申請の手続きが容易で、クリニック開業後の忙しい時期でも利用しやすい点がメリットです。
制度を利用する際は、それぞれの要件や手続きを十分に確認しましょう
これらの補助金や助成金は、クリニックの開業とその後を支援する貴重な手段となります。
地域に貢献できる医業として、質の高い医療サービスを提供し、持続可能なクリニック運営を目指すためにも上手く活用したいものです。
ただし、各制度は対象や要件、申請手続きなどが異なりますので、利用を検討する際には詳細を十分に確認するようにしましょう。
【引用元】
創業者向け補助金・給付金(都道府県別)
https://j-net21.smrj.go.jp/support/covid-19/sogyo.html
経産省|事業承継・引継ぎ補助金
https://jsh.go.jp
厚生労働省|トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_16286.html
IT導入補助金2023
https://www.it-hojo.jp
中小企業庁|ものづくり補助金
https://portal.monodukuri-hojo.jp
中小企業庁|事業再構築補助金
https://jigyou-saikouchiku.go.jp
厚生労働省|医療施設等施設整備費補助金交付要綱
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/rinsyo/hojogaiyo/dl/shisetsu_02.pdf
厚生労働省|キャリアアップ助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
厚生労働省|人材開発支援助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
厚生労働省|地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/chiiki_koyou.html
厚生労働省|職場定着支援助成金(個別企業助成コース)のご案内
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000122387.pdf
厚生労働省|特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html
株式会社フィンテック(ONEFPグループ)
URL:https://www.fin-tec.co.jp
監修者 株式会社コスモス薬品
本社は福岡県福岡市博多区。東証プライム市場上場。
「ドラッグストアコスモス」の屋号で、九州を中心にドラッグストアチェーンを展開。
2024年5月期決算売上高は9,649億8,900万円。
M&Aを一切行わず、33期連続増収。
日本版顧客満足度指数の「ドラッグストア」において14年連続第1位を獲得。
クリニックの開業支援にも注力し、2024年現在、開業物件数は約350店舗。
集患に有利なドラッグストア併設型クリニックを全国各地で提案している。

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