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コラム・インタビュー

開業時に備えたい...銀行融資や賃貸借契約に対する保険とは?

危機管理・その他
株式会社フィンテック(ONEFPグループ)

開業医として独立する際には、さまざまなリスクに備える必要があります。そのなかでもとくに重要なのが、銀行融資と賃貸借契約に対する保険です。適切な保険に加入することで、予期せぬ事態に伴う経済的な負担を抑え、安心して診療に専念できる環境を整えられます。クリニック開業時に検討すべき保険の種類やそれぞれのメリット、注意点を具体的に見ていきましょう。

銀行融資に対する保険

多くの開業医は、クリニックの開業資金を銀行からのローンで賄うことが一般的です。しかし、ローンの返済期間中にもし開業医本人に万が一のことがあった場合、残された家族にとってその返済が大きな負担となる可能性があります。

このようなリスクを軽減するために用意されているのが、団体信用生命保険(団信)です。

団体信用生命保険(団信)とは

団信は、借り手が死亡もしくは高度障害状態になった場合に、残りのローンを保険会社が肩代わりする保険です。家族が借入金の返済に苦しむことなく、経済的な安心をもたらすことが団信のメリットといえます。

団信による保険金は、ローン残高の相当額と連動するため、ローン返済が進むにつれて保険料も減っていきます。団信の加入は、多くの金融機関で融資の条件となっており、ほぼすべての融資契約で必須とされています。

一方で、以下のように団信の代わりになる生命保険もあります。

  • 定期保険
  • 収入保障保険

定期保険

定期保険は、保険期間中の保険料が一定となっている生命保険です。

団信のようにローン返済に合わせて保険料を減らしたいのであれば、定期的に保険料を見直す必要があります。

収入保障保険

収入保障保険とは、保険金が年金形式で支払われる生命保険のことです。保険期間が経過するにつれて保険金の受取額が下がっていくため、団信に近い保険と言えます。

子どもの成長やローンの返済が進むにつれて、必要となる保障額が減少することを考慮して設計されています。一般的な定期保険に比べ、保険期間中の保険料を安く抑えられるため、経済的な負担を軽減できることがメリットです。

たとえば、45歳男性の開業医が銀行から8,000万円の融資を受け、月額50万円の家賃を支払う契約を結んだとします。賃貸借契約の期間を20年とすると、借入金と賃料総額の合計は2億円に達します。この場合、銀行融資の対策として、2億円相当の生命保険を用意する必要があります。

以下に、定期保険と収入保障保険の保険料を比較してみましょう。

  • 定期保険の保険料...118万6,800円/年
  • 収入保障保険の保険料...49万4,500円/年

この事例では、保険料が年間で半分以下となる収入保障保険が、開業初期の負担を大幅に軽減する有効な手段となります。

ただし、収入保障保険には注意点もあります。

まず、掛け捨て型の保険であるため、解約返戻金や満期保険金がない点です。保険期間満了前に解約する場合、支払った保険料は戻ってきません。

また、開業後の資金計画や経営状況を考慮し、保険金が逓減していく割合についても理解しておく必要があります。

開業医として銀行融資を受ける際には、メリットと注意点を把握した上で、自身のライフプランに合った生命保険を選ぶことが重要です。

賃貸借契約における家賃保証会社の利用

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クリニックを賃貸物件で開業する際、賃貸借契約に向けて検討しておきたいもう一つのリスク対応が、家賃保証会社の利用です。

とくに、開業初期は収入が不安定になりやすく、資金に余裕がなければ家賃の支払いに影響が出る可能性も考えられます。

そのようなリスクを回避し、事業継続の見通しを確保するための手段が家賃保証会社なのです。

家賃保証会社とは

家賃保証会社は、借主が家賃を支払えなくなった場合に、保証人として家賃を立て替えるサービスを提供している会社です。

従来、賃貸借契約では連帯保証人が求められることが一般的でしたが、近年では家賃保証会社の利用が増えつつあります。

賃貸物件によっては、契約時に家賃保証会社の利用を義務づけているケースも少なくありません。

家賃保証会社を利用するメリット

信用力の向上:家賃保証会社を利用することで、貸主に対して借主としての信用力が向上し、物件の契約がスムーズに進みます。

リスクの回避:借主である開業医が何らかの理由で家賃の支払いが滞った場合、保証会社が代わりに家賃を支払うため、経営の安定が保たれます。

保証人の代替:親族や友人に保証人を頼みにくい場合や、保証人の条件を満たさない場合でも賃貸契約を結びやすくなります。

家賃保証会社を利用する注意点

家賃保証会社を利用する際には、借主が保証料を支払う必要があります。保証料の目安として、初年度は家賃の0.5〜1ヵ月分ほどになりますが、2年目以降は年1〜2万円程度です。

契約期間は通常1〜2年で、更新時には別途更新料が必要となります。

保証内容には家賃のほかに、管理費や違約金、損害賠償金なども含まれるため、保証範囲や料金体系などを事前によく確認しておくことが重要です。

災害や事故に対する保険

賃貸借契約でクリニックを開業する際には、火災保険および借家人賠償責任保険の加入も欠かせません。これらの保険は、予期せぬ災害や事故から経済的な損失をカバーし、安心して事業を続けるための重要な手段となります。

とくに、医療機器や薬品など高価な設備が多いクリニックでは、火災による損失が非常に大きくなる可能性があるため、火災保険は必須と言えます。

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火災保険とは

火災保険は、火災による建物や設備の損害を補償する保険です。開業医としてクリニックを運営する際には、施設内の設備や医療機器などの資産を守るために火災保険への加入が必要です。

保険内容には、火災だけでなく風災や水災、盗難などをカバーするプランもあります。たとえば、クリニックが台風や集中豪雨で被害を受けた場合でも、風災と水災を付けていれば、建物の修理費用と設備の補償が受けられます。

また、火災保険は地震保険を付帯する形で加入することが一般的です。これらの加入によって、予期せぬ自然災害に対する備えを強化できます。

火災保険には、「財物補償」と「休業補償」の2種類の補償があります。

財物補償は、前述のとおり、設備や医療機器に生じた損害を補償するものです。一方、休業補償は、火災や浸水によって休診せざるを得なくなったとき、その間の売上損失に対して補償が適用されます。借入金の返済や家賃の支払い、スタッフの給与などは、この補償によって賄うことが可能です。

このように休業期間中の収入減少も補填されるため、経営に与える影響を最小限に抑えられます。

借家人賠償責任保険とは

借家人賠償責任保険は、借りている賃貸物件に対して、過失による損害を与えた際に補償される保険です。

たとえば、火災や水漏れといった偶発的な事故が発生した場合に適用され、その修復費用をカバーします。この保険は、賃貸契約を結ぶ際に貸主から要求されることが多いため、契約時には必ず確認しておきましょう。

セットプラン例

火災保険と借家人賠償責任保険は、セットで加入するケースが一般的です。

保険料と補償額は、以下のセットプランが目安になります。

火災保険:年間保険料 約5万円、補償額(地震保険あり)戸建て 2,000万円/マンション 1,000万円

借家人賠償責任保険:年間保険料 3,000〜1万円、補償額 2,000万円

加入時の注意点

補償範囲の確認:火災保険と借家人賠償責任保険の補償範囲をしっかりと確認し、自身のニーズに合ったプランを選ぶことが賢明です。

保険料の比較:過不足のない補償内容に対して保険料が適切かどうか、複数の保険会社のプランを比較検討する必要があります。

契約内容の理解:万が一のリスクに随時対応できるよう、保険期間や更新時期も含めて契約内容を十分に理解しておくことが大切です。

火災保険と借家人賠償責任保険を活用することで、賃貸借契約で開業するリスクを軽減し、安心して医療サービスに専念できるでしょう。

メリットや注意点をよく理解し、もしものときに備えましょう

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クリニックの開業に際しては、経済的なリスクに対する備えが欠かせません。

銀行融資に対する団信や、賃貸借契約時の家賃保証会社の利用、そして火災保険や借家人賠償責任保険は、もしものときに役立ちます。

それぞれの保険が持つ特性やメリット、注意点を理解し、自院に合った補償プランを選択しましょう。

開業を検討している医師の皆様は、ぜひこれらの保険の内容をよく確認し、万全の準備を進めてください。

株式会社フィンテック(ONEFPグループ)
URL:https://www.fin-tec.co.jp

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