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コラム・インタビュー

クリニック開業...失敗しない「検査業者」の選定のポイント

経営・戦略
株式会社TTコンサルティング 医師 武井 智昭

クリニックの場合、自院に検査機器を持たないケースは多く、その場合、検体検査は外注することになります。しかし、業者選びにも十分な注意が必要です。安易な業者を選ぶと、余計な手間や費用が発生するだけでなく、検査結果自体の精度に大きな問題が生じることもあるからです。医師が具体的に解説します。

迅速かつ網羅的な検査を、速やかに実施・報告してくれる業者が大前提だが...

病院とクリニックの機能の大きな違いのひとつとして「検体検査を院内で実施しているかどうか」という点が挙げられます。

検査機器は高額なため、自前で購入し、自院内で検査をするクリニックは多くありません。そのため、自院に検査機器のないクリニックは、検体検査を外注することになります。

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最近では実施する医療機関は激減しましたが、新型コロナウイルスのPCR検査も、ほとんどの医療機関は外注で対応していました。

医療機関から提出される検体(血液・尿・微生物など)を受託し、検体検査を実施できるのは、法律に基づいた施設基準・検査体制を満たし、各都道府県知事から「衛生検査所」の登録を受けた「検査会社(ラボ)」のみです。

検査会社はさまざまな規模のものがあり、全国に展開し、数多くの医療機関からの検査を受託している大企業から、地域の限定した医療機関から提出された検査のみを受託している規模の小さい会社もあります。

一般的なクリニックにおいて、提出された検査結果は、診療を行ううえで重要な客観的データとなります。

そのためにも、迅速かつ網羅的な検査、並びに報告をしてくれる検査業者を選び、依頼することが、クリニックの運営上において必要になります。

ここからは、検査項目の多さ、検査スピードのほかにも、検査業者選びにおいて確認すべきポイントについて解説します。

使用している「電子カルテ」との相性は大丈夫か?

まず優先して考えるべきことに、検体会社のコンピュータとクリニックの電子カルテシステムとの相性があります。電子カルテから直接検査の依頼が可能か、検査結果をそのまま電子カルテに取り込むことが可能か、といった点が重要です。もし、検査結果を直接取り込めなければ、紙のデータをスキャンして、検査結果もカルテに転記する...といった時間的なロスが発生します。また、手間が多ければ人為的なミスも生じやすくなるため、非常に非効率といえます。

こうしたロスを避けるためにも、導入する電子カルテを決めたあとに、その電子カルテに対応可能な検査会社をリサーチする必要があります。

その際には、依頼したい検査会社からどの電子カルテを使っているのか、情報を得ることも大事ですが、導入した電子カルテメーカーと相談し、同じ電子カルテを使っている検査会社を紹介してもらう、という手法もあります。

集配の時間・回数に問題はないか?

検体の集配は、対応する会社にもよりますが、基本的に午前・午後の2回が多くなっています。

とくに午後の集配時間は17時~18時となるケースが多いため、午後の集配後に検体が発生した場合に備え、再回収が可能であるかの確認が重要です。地方の場合は集配の回数が少ないこともあるため、注意してください。

また、緊急の検体が発生した場合、自社のバイク便などでの搬送ができるのか、その料金についても確認が必要です。バイク便の値段は経費にも大きくかかわるため、クリニックと検査会社の距離も考える必要があります。緊急検体が多く提出される可能性が高いクリニックの場合、緊急搬送時の条件もよく考慮したほうがいいでしょう。

パニック値出現の報告方法、検体取り扱いミスの対応は?

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前述の緊急検体の対応に加え、生命に影響があり直ちに対応が必要である「パニック値」を検出したときの対応も、事前に確認が必要です。多くの検査会社はクリニックのFAXへの通知や電話での直接通知を行うことが多くあります。

このほか、検体の集配遅延による検査結果のミス、検体取り扱いの誤りによるミスなどによる補償に関しても、事前に確認をしておく必要があります。

筆者の経験では、とある検査会社が、大雪の日に発生した検体を2日経っても回収せず、その検体の検査結果も、患者の病態をまったく反映せずに、平然と多数のパニック値の報告をしてきた、ということがありました。そのことについて検査会社からは謝罪や補償もなかったことに不信感を抱き、結果として検査会社を変更することになりました。

レセプト返戻・減点に備えた対応は?

診療をしていると、診療報酬(レセプト)の検査項目に関して、返戻・査定による減点をされる場面も多々でてきます。このような、検査に伴う返戻・査定に関しての相談を無償でできるのか、といった点も事前に確認すべき重要なポイントです。

委託料金に問題はないか?

最終的に、検査などを外注する場合には、委託料金が要となってきます。一般的には診療報酬の点数の約60%が料金の目安となっています。

とくに、アレルギー項目やPCR検査などは診療報酬が高額です。料金を交渉する際には、自分の診療科目において、検査の頻度が高く、診療報酬が高額な検査項目は割合を低く、その他の検査に関しては60%程度から交渉していくとよいでしょう。

また、委託料金に関しては年に1回程度の見直しが可能であるか、こちらも確認する必要があります。

料金が相場よりあまりに安価である場合には、必ず理由があります。避けなければいけないのは、検査で使用する試薬などが安価であるため、検査結果の信憑性が低下し、精度に問題が生じる、といった事態です。

このように、検査精度に問題が発覚した場合には、検査会社を乗り換えようと思っても、契約等によって他社への乗り換えが簡単にできないケースもあります。こうした事態を回避するには、インターネットで開業医の書き込みや、知人の開業医などからの評判など、利用者からの評価を参考にするとよいでしょう。

この反面、料金が安価に設定されている理由として、シェアを拡大して競合他社に契約を取られたくない、近隣にも取引先がある、戦略が明確であること、短期間での収益よりは長期間のお付き合いをしたいこと、など、明確な理由があり、精度管理も信頼に足るのであれば検討の余地はあります。

適切な情報提供があるか?

医学の検査も日進月歩で変化・進歩があります。診療報酬の点数が変わった検査や、新規に導入された検査などに関して定期的にアップデートされているか、医療機関にもきちんと情報提供されるのか、といったことも、しっかりと確認する必要があります。

クリニックを開業し、診察を展開していくにおいて、検体検査は医学的診断の根幹に関連する重要な問題となります。

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信用ならない検査会社に依頼してしまうと、クリニックの運営にも大きな影響を及ぼしかねません。検査会社を選ぶ際には、慎重に、充分な検討を重ねて決定するようにしましょう。

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医師 武井 智昭

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