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クリニック運営における「従業員の福利厚生」の重要性...社労士が解説

採用・教育・労務
社会保険労務士法人エニシアFP 特定社会保険労務士・FP 三藤 桂子(本名三角)

クリニックを繁盛させるには、患者様から信頼される医師の存在はもちろん、優秀なスタッフの存在が不可欠です。来院した患者様と直接やりとりするスタッフたちは、いわばクリニックの「顔」であり、スタッフが患者様に与える印象は、収益にも多大な影響を及ぼします。人手不足のいま、能力の高い看護師や医療事務スタッフを採用・定着させるには、「福利厚生」の充実が欠かせません。クリニック運営における福利厚生の重要性について、社会保険労務士が解説します。

そもそも福利厚生とは?

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福利厚生とは、賃金や賞与以外で企業から従業員へ提供される制度・サービスの総称です。福利厚生には「法定福利」と「法定外福利」があります。従業員やその家族の健康や生活を向上させることを目的としており、人事施策として重要な役割を果たしています。

「法定福利」は、社会保険(健康保険、厚生年金保険)や労働保険(雇用保険、労災保険)などをさします。

労災保険は全額事業主負担ですが、その他は事業主負担と従業員負担分があります。従業員負担分は、給料支払い時に控除し、保険料を納めるときは、事業主が事業主負担分と従業員負担分をまとめて納付します。事業主負担分は、法定福利費として経費に計上できますが、事業主負担が大きいため、経営が厳しい事業主は社会保険に加入する働き方をためらうこともあります。

医療法人や個人経営でも常時5人以上のクリニックでは社会保険の加入は必須となります。個人で営んでいる従業員5人未満のクリニックでは、社会保険の加入は従業員が同意することで任意加入することができます。

一般的に国民健康保険や国民年金に加入するより、フルタイム(正社員)で定着して働きたい人には社会保険の加入ができるとなると嬉しいはずです。なぜならば、社会保険に加入すれば健康保険から出産手当金、万一のための生活保障として傷病手当金を受け取ることができます。さらに高齢期に受け取る老齢年金の上乗せ給付も作ることができます。社会保険の適用拡大がすすめられている現状から考えると、社会保険の加入は人材確保につながるでしょう。

「法定外福利」は、働き方改革により社会情勢やさまざまな人のニーズ、企業側の経営方針のトレンドなどで変化しています。スタッフ側も多様な働き方を希望しているため、企業側の経営方針と必ずしも一致するとはいえませんが、準備をすることで、いつでもよい人材確保につなげることができます。

特にスキルをもった看護師などは賃金待遇だけでなく、仕事と家庭の両立を満たすことが、人材確保と人材の定着につながります。一般的にクリニックは女性が多い職場です。つぎに従業員に喜ばれる福利厚生についてライフサポートを中心に考えてみます。

従業員に喜ばれる福利厚生の例

手当としては、基本給にプラスして住宅手当、家族手当などの諸手当があると喜ばれます。さらに、財形として資産形成のための確定拠出年金の導入、退職金制度もおすすめです。

制度のプラスαとしては、育児・介護の休暇制度、生理休暇、健康管理など、規程の整備だけでなく制度の利用しやすい環境づくり、雰囲気づくりも必要です。

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たとえば、育児・介護休業法は、2022年(令和4)年に法改正により大きく変わりました。男女ともに育児や介護によって離職することなく働き続けられるよう、法整備されました。仕事と育児・介護を両立できるように柔軟な働き方ができるようになっています。今後もさらに、柔軟な働き方を実現するための措置の拡充が予定されています。

従業員のライフスタイルの多様化に対応すべく、クリニック側が時代に即した新たな福利厚生制度の導入を進めることが、スタッフの定着につながります。

新しい制度の導入に前向きな対応することで、スタッフは「働き手に配慮のあるクリニック」だと感じ、福利厚生に満足して「ここで長く働きたい」と思うようになるでしょう。スタッフの安心感や満足感が、患者様への接遇にも反映され、相乗効果によって「選ばれるクリニック」へとなっていくのです。

福利厚生も、時代の変化に合わせた柔軟な対応を

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社会情勢や医療の高度化といった環境の急激な変化等から、クリニック運営のあり方も変化しています。クリニックを安定的・永続的に運営するには、時代の流れやスタッフのニーズに合わせた環境整備が重要なのです。

医師のスキルだけでなく、医師を支えるスタッフのスキルや環境の向上によって、患者様に選んでもらえるクリニックになるでしょう。

多様な働き方をする人が増えるなか、優秀なスタッフの確保・定着を実現するには、賃金を高く設定するだけでは十分とはいえないのです。

単純に医療技術が高いだけでは、クリニックとしては十分とはいえません。そこで働くスタッフの安心感・満足度がクリニックの雰囲気、評価に大きく影響することを経営者側はしっかりと認識し、よりよい環境づくり、運営に努めていきましょう。

社会保険労務士法人エニシアFP
特定社会保険労務士・FP 三藤 桂子(本名三角)

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