コラム・インタビュー
SNSを活用したクリニックのブランディング戦略...初心者がミスなく運営するためのポイント
「ブランド」の語源は、牛を識別するために入れる焼き印(Burned)だともいわれています。ブランドの本質は「識別」であり、また、ブランドの価値を最大化することが「ブランディング」です。現在、ブランディングの強力なツールのひとつとなり、社会に大きな影響力を持っているのが、SNS(ソーシャルネットワークサービス)です。今回は、クリニックにおけるブランディングの必要性と、ツールとしてのSNSの適用範囲、そしてSNS運営で失敗しないためのポイントを見ていきます。
クリニックに「ロゴマーク」は必要ない!?
新規開業にあたって、高いデザイン料を払ってこだわりのロゴマークを制作したり、クリニックの名称も、横文字を並べたおしゃれなものにしたり...。そもそも、プライマリケア中心の保険診療メインのクリニックにおいて、ブランドは必要なのでしょうか?
医療経営のコンサルタントである筆者ですが、正直、ロゴマークでクリニックを識別している患者様を知りませんし、筆者自身、医療機関のロゴとして、即座に思い浮かぶものはありません。つまり、クリニックのロゴでは「識別」を生み出さず、あくまで先生の自己満足の領域に過ぎないと考えています。
一方で「クリニックの名称」は「識別」の対象になりブランドを構成する要素のひとつになり得ます。開業時、あくまでマーケティングの観点から筆者がお勧めしているのは、「どこ」で「なにを」しているかがわかる名称をつけることです。たとえば「小石川駅前 しばた消化器内科・内視鏡クリニック」といった感じです。これなら、どこにある、なにをしているクリニックなのか、おおよそわかります。インターネットで検索されやすくなるということもあり、近年ではこのような名付けをするクリニックが増えています。
新規開業するにあたり、ブランディングについて書かれた ビジネス書を片手に、熱心に勉強される先生もいらっしゃいますが、 世界で展開する「ルイ・ヴィトン」や「マクドナルド」の ブランディング戦略モデルを学んでも、ビジネス環境が異なる クリニックにとっては参考程度にしかなりません。 多くのコストや労力をかけ、こだわりのロゴを作成しても、 それが大きな効果を生み出すことはまずないのです。
しかし、競争環境にあるクリニックの場合、競合他院の識別は競争を優位にする要素となります。つまり、競合と差別化を図りたい場合は、ブランディングは必要です。
ビジネス書で学ぶような大掛かりなものではなく、クリニックの特性に合う、ポイントを押さえた肩ひじ張らないブランディングを展開することが、成功のカギだといえます。
クリニックにおけるSNS適用範囲
ブランディングとして最初に活用すべきは、やはりSNSでしょう。
お断りしなければならないのは、ここでのSNS活用術は、マーケティングやプロモーションでの話ではありません。そもそもSNSは、直接的に患者様を集めるためのツールとしては、クリニック(※美容医療など自費メインのクリニックではありません)で使えません。手間・費用を上回る効果はまず出ないといえるからです。
SNSでインフルエンサーのような影響力を持つまでになるには、大変な労力と費用がかかりますが、そもそも今回の対象となるクリニックはさほど単価が高くないビジネスで、受入人数も限定されます。また、商圏(診療圏)が狭い、ターゲットとなる世代が違う、さらにはSNSユーザーの場合、SNSで病気を調べたり、医療機関を探したりすることは多くないといった傾向もあります。
ただ、SNSはテキストのみならず、画像や動画などの表現力を高くすることが可能です。SNSでインフルエンサー的な動きをするのではなく、まずは「認知」と「識別」の2つのステップを踏んでいけばいいのです。
①まず、ブランディングの前に、地域のターゲットユーザーに対してWeb広告やMEO、SEO、その他のプロモーション活動を行うことで自院を「認知」してもらい、ホームページ等へのアクセス導線を作ります。
②そのうえで、表現力の高い自院が発信するSNSの各種コンテンツによって「識別」を促します。これがクリニックにおけるSNSの利用目的つまり適用範囲になります。
この2つが、タイトルにも記した「初心者がミスなく運営するポイント」です。ミスをしてしまう典型的なパターンが、「認知」を目的にSNSでフォロワー数や「いいね」、視聴回数を増やそうと頑張るものの、それほどの効果は得られず、頓挫して中途半端な状態で終わってしまうというもの。
SNSを通じて、患者様が「勝手に識別」してくれるプロセス
しかし、上述したように、SNSの適用範囲を「識別」と割り切ることができれば、数多あるSNSのどれを利用すればいいか、また、どんなコンテンツを発信すればいいかも見えてくるはずです。
例えば、自分がこだわっている部分が「識別」の対象となるので、その部分を切り取り、発信していきます。また、医療従事者にとっては特別ではない、ごく当たり前のことであっても、患者様側からみればそうではない、ということは多々あります。こだわり以外の「当たり前」のことでも、表現すればいいのです。
医療情報に限らず、日常の院長やスタッフのオフショットでも雰囲気のよさが伝われば、見る側が勝手に「識別」してくれます。大切なのは継続性ですから、配信も月に数回でいいのです。
それこそ「発信している」こと自体が、発信していない競合他院との情報量における「識別」につながります。このように「認知」に偏って肩ひじ張らないSNS運営スタイルが、プライマリケアメインのクリニックにおける「ミスなく運営するポイント」なのです。
株式会社ニューハンプシャーMC
代表取締役 柴田 雄一
弊社が開業支援をさせていただきます
コスモス薬品が運営するドラッグストアは、日常生活に必要なものが何でも揃う生活の拠点となるお店。その地域で便利に安心して暮すために欠かせない、電気や水道のような社会インフラであるお店。
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