コラム・インタビュー
一般内科開業・増患のリアル...生き残り競争を勝ち残るクリニックならではの「目のつけどころ」

医師の働き方改革などの影響から、さまざまな形態の「内科クリニック」の開業ラッシュが続いています。幅広く診療する「一般内科」から、臓器に専門特化した内科クリニックまで、多様な診療スタイルがありますが、その裏では、患者の獲得に苦戦して閉院を余儀なくされるクリニックも多く、まさに死屍累々といった状況です。内科医として自身のクリニックを運営しながら、ドクターたちの開業支援・増患対策も行ってきた筆者が、「一般内科クリニック」における集患テクニックの基本を解説します。
開業ラッシュの一方で進む「淘汰」
多額の費用と労力をかけ、各方面のプロから多くのアドバイスをもらい、満を持してのクリニック開院...。それなのに、サッパリ集患できない。そんな院長の嘆きや怨嗟の声が、日本各地から聞こえてきます。なぜ、患者たちは、あなたのクリニックを選ばないのでしょうか?
理由はさまざまですが、まず主な要因として、以下の点が挙げられます。

生き残り競争を勝ち残るための「目のつけどころ」
このような過酷な状況下で、一般内科クリニックを開業し増患を図るには、従来のやり方にとらわれず、新たな視点を持つことが不可欠だといえます。生き残り競争を勝ち残るための「目のつけどころ」には、どのようなものがあるのでしょうか。
①「心療内科的なスタイル」を取り入れた対応
一般内科クリニックの数は非常に多いため、専門性の明確化を打ち出しても患者増加には直結しません。重要なのは、ほかのクリニックとの差別化です。患者様が再受診をしたり他人へ紹介したりする、という次のステップにつながるのは、受診によって「体が楽になる」「安心を得る」「新たな知識を得る」という心理的な満足がきっかけです。したがって、クリニック側には心理的な配慮のあるコミュニケーションが必須になるのです。
一般内科を受診する患者様は、その人の医学的な疾患名である「身体」のみならず、不安・鬱傾向・不眠などの「精神」の部分、そして、社会に置かれている立場(会社役員、自営業、主婦、失業中など)などの「社会」の3つの軸をとらえた、全人的な診療が好まれます。
そのため、患者様を丸ごと受け入れて否定しないこと、患者様の話をさえぎらずにコミュニケーションの7~8割は「聞く」態度に徹すること、心療内科的な支持的・共感的なコミュニケーションを取ることが重要です。
患者様の身ぶり手ぶりや、マスク越しの表情からも感情をくみ取るスキルが重要です。心療内科・精神科は、対面では初診の予約取得が困難であるため、内科での心理的な初期対応は、患者の満足度が高くなる大きな要因となります。
②患者体験の向上
近年では治療そのものよりも、クリニックでのよい体験・よい印象を重視する傾向にあります。そのため「患者体験」を向上させる工夫も必要です。具体的には、下記のような方法が挙げられます。
③効果的な情報発信
クリニックの存在を患者様に知ってもらうためには、効果的な情報発信が不可欠です。その際には、ターゲット層の明確化がポイントになります。たとえば、高齢者向けにはチラシや地域雑誌・新聞・回覧板への掲載、若い世代向けにはSNS広告などの情報発信を行うことが効果的です。
まとめ

一般内科クリニックの開業・増患は、小児科の例と比較すると、成果が出始めるのはゆっくりです。しかし、コミュニケーションや心理的な配慮を明確化し、患者体験を向上させ、効果的な情報発信を行うことで、生き残り競争を勝ち抜き、地域に根差したクリニックとして認知され、発展していくことは可能です。
そのためには、患者様があなたを主治医として思わず頼りたくなるような、温かく受容的な診療態度で接し、クリニック全体からもそのような雰囲気を醸し出せるよう、工夫することが大切なのです。
株式会社TTコンサルティング
医師 武井 智昭
監修者 株式会社コスモス薬品
本社は福岡県福岡市博多区。東証プライム市場上場。
「ドラッグストアコスモス」の屋号で、九州を中心にドラッグストアチェーンを展開。
2024年5月期決算売上高は9,649億8,900万円。
M&Aを一切行わず、33期連続増収。
日本版顧客満足度指数の「ドラッグストア」において14年連続第1位を獲得。
クリニックの開業支援にも注力し、2024年現在、開業物件数は約350店舗。
集患に有利なドラッグストア併設型クリニックを全国各地で提案している。

弊社が開業支援をさせていただきます
コスモス薬品が運営するドラッグストアは、日常生活に必要なものが何でも揃う生活の拠点となるお店。その地域で便利に安心して暮すために欠かせない、電気や水道のような社会インフラであるお店。
そこに専門性が高いクリニックが加われば、さらに「豊かな生活」を提供することができます。
コスモス薬品は、地域医療の担い手である開業医を全力でサポートしてまいります。