コラム・インタビュー
「呼吸器内科」開業・増患のリアル...「一般内科」との差別化のポイントとは?

呼吸器内科は、ほとんどのクリニックでX線装置が導入されており、なかにはCTまで備えているクリニックもあります。このように、呼吸器内科の開業は初期投資額が大きくなりやすいため、経営計画を緻密に立てておくことが大切です。ここでは、呼吸器内科の開業や運営に必要なノウハウ、集患対策などを解説します。
呼吸器内科の開業に適した物件・内装工事
呼吸器内科は小児科と同様、風邪から気管支炎・肺炎などの感染症と切り離せない診療科目です。そのため、感染対策として待合室を広めにする、検査室を含めて複数の診察室を設ける、といった必要があります。また、慢性呼吸不全の患者様も多く、なかには車イス・在宅酸素療法や人工呼吸器などの医療機器を要する患者様もいることから、廊下幅などにも配慮が必要です。

呼吸器内科は、一般内科と比べて広い面積を必要とするため、面積は45坪以上の面積が必要です。感染症対策として、患者様同士の間隔を広くとる、隔離室を設けるなどの対応する場合は、さらに広い面積が必要になります。加えて、CTを導入するならプラス10坪程度必要です。
診療所で実施する例は少ないですが、呼吸器リハビリを実施する場合は、施設基準の関係でリハビリ室として45㎡以上が必要です(整形外科や脳神経外科など、リハビリを多用する診療所では検討することがありますが、実施例は少ないです)。
CT検査導入有無の判断

呼吸器内科では、画像検査(X線検査・CT検査)を行うことが多いのですが、自院へのCT検査の導入有無については、必要な初期投資資金や維持の資金へのウエイトが高くなるため、慎重な検討が必要です。
経営としては医療機器や敷地面積にもよりますが、1日50名程度がひとつの目標となります。
CT検査を導入する場合、CT室とキュービクルの場所の確保で2,000万~3,000万円の初期投資が必要となるほか、放射線技師の雇用などの必要経費も大きくなります。しかし近年では、CT検査は近隣の画像専門のクリニックや基幹病院の機器共同利用などによる検査依頼を実施することも多く、比較的にコンパクトな運用を行うケースも多いです。
内装工事費用と医療機器の費用
待合室1室、診察室3室、処置室1室、検査室1室の全面積50坪で開業した場合のケースを考えてみましょう。
概算で、設備資金が約6,800万円(このうち内装4,500万円、設備2,300万円)、運転資金が約2,700万円となり、この部分ですでに合計約9,500万円の開業資金を必要とします。これにCT検査を導入すると、さらに2,500万円が追加となり、1億円を超える開業資金が必要です。
このため、必要な面積・医療機器を検討するなど、事業計画や融資の綿密な計画が必要となります。
一般内科と差別化を行うための基本的な検査機器
●レントゲン撮影装置、CT検査
画像診断は呼吸器内科では必須となります。読影ミスを予防するため、近年ではAIによる二重チェックを行うクリニックも増加傾向にあります。

●スパイロメーター
肺活量や呼吸機能を測定し、多く受診が見込まれる気管支喘息・慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)・間質性肺炎などの呼吸機能の評価を行います。比較的安価(数十万円から)で機器導入は可能です。
●呼気NO濃度測定装置
気管支喘息において、より簡易な気道の炎症状況を測定するために検討されます。保険点数は240点。
●睡眠時無呼吸症候群の簡易検査
近年では検査ニーズや生活習慣病悪化防止(特に高血圧症)で注目されています。自宅で小型の装置(アプノモニターなど)を1泊2日で貸与します。検査の保険点数は900点で、その後の自宅での非侵襲的陽圧換気(NPPV)管理など、収益に大きくつながります。
専門性と差別化について
呼吸器疾患の専門性を前面に出す呼吸器内科のなかでも、特定の疾患領域(たとえば喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群など)に特化することで、患者様のニーズに応じた専門的な医療を提供できます。
呼吸器疾患のニーズは、少子高齢化やアレルギー疾患の増加もあり、患者数は増加傾向です。また、近年では気管支喘息の早期治療により重大な発作予防が推進されているため、成人のみならず、子どもも呼吸器内科を受診する傾向があります。
喘息などのアレルギー性疾患の有病率は小児では増加傾向であり、加えて、花粉症(アレルギー性鼻炎)、可能ならアトピー性皮膚炎などの他科もある程度対応できる場合には、さらに患者数の増加が期待できます。
また、子どもの親によるクチコミ、ネットへの評判の書き込みも考えられますので、子どもに気に入られる呼吸器科クリニックであるとともに、子どもの親・さらにその親と、3世代から信頼される呼吸器内科となることが重要でしょう。
成人が納得できる検査・説明・治療のみならず、子どもからも「優しい先生、優しいスタッフ」と思ってもらえる診察・対応が成功のカギとなります。そのためには、患者様との距離の近さ、親しみやすさが接遇面で重要となるのです。
株式会社TTコンサルティング
医師 武井 智昭
監修者 株式会社コスモス薬品
本社は福岡県福岡市博多区。東証プライム市場上場。
「ドラッグストアコスモス」の屋号で、九州を中心にドラッグストアチェーンを展開。
2024年5月期決算売上高は9,649億8,900万円。
M&Aを一切行わず、33期連続増収。
日本版顧客満足度指数の「ドラッグストア」において14年連続第1位を獲得。
クリニックの開業支援にも注力し、2024年現在、開業物件数は約350店舗。
集患に有利なドラッグストア併設型クリニックを全国各地で提案している。

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コスモス薬品が運営するドラッグストアは、日常生活に必要なものが何でも揃う生活の拠点となるお店。その地域で便利に安心して暮すために欠かせない、電気や水道のような社会インフラであるお店。
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