コラム・インタビュー
クリニックの開業前に知っておきたい「集患スキーム」の超キホン
クリニック経営において非常に重要となるのが「集客(集患)」です。近年では、ホームページやSNS、口コミなどの発達によってオンラインでの集患対策が重視されるようになり、従来の手法だけでは対策が難しくなっています。
ネット検索やSNSを活用した集患が重要に
最近のクリニックの集患の潮流として、オンラインへの対策が重要となる一方、新型コロナウイルスの流行により、オフラインでは感染対策が注目されるようになりました。そのため、安心して来院できる環境作りと感染対策の徹底が重視されています。
このような背景から、優れた知識と技術、接遇などの医療サービスを提供できる状況が整っていたとしても、オンラインによるPRが手薄な状態でクリニックを開業してしまうと、最初から受診患者数が伸び悩み、最悪は経営が成り立たず、早々の閉院を余儀なくされるリスクもあります。
クリニックの集患といっても、開院する地域や診療科目によってアプローチすべき患者は異なります。また、それによって集患に効果的かつ効率的なスキーム・手段も変わってきます。
自院の情報を適切な手段でPRし、認知してもらい、受診につなげる工夫が必要なのです。
しかし、クリニックの集患施策を実践する際の広告は、厚生労働省によって発表されている医療広告ガイドライン(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000209841.pdf)に沿ったものである必要があります。2018年のガイドライン改定により、ホームページやSNSの投稿も広告とみなされるようになったため、集患施策をする場合は注意しておこなうようにしましょう。
医療広告ガイドラインで示された禁止事項は以下の通りです。
- 広告が可能とされていない事項の広告(専門外来や未承認医薬品による治療内容など)
- 内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
- 他の病院または診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告)
- 患者等の主観に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談
- 治療等の内容または効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前または効果に関する体験談
クリニックのウェブサイトやSNS、漫然と情報発信していてはダメ
開院する地域で、同一診療科を標榜している他院と競合する場合、いかに差別化し、自院を選ぶ価値があるのかをアピールすることが重要になります。とくに競合が多いとされる都心部では、受診患者側はしっかりと事前のリサーチ・検索を行ったうえでクリニックを選びます。
そのため、土日祝日や夜間帯の診療実施の利便性、設置している医療機器や対応できる検査内容、自費診療を含めた治療メニューの特徴を、ホームページでアピールをすることが重要です。
先述した通り、2018年に医療広告ガイドラインが改定されたことで、ホームページやSNS投稿も広告とみなされるようになりました。
「SEO対策」「MEO対策」の重要性
SEOとは、「Search Engine Optimization」の頭文字であり、日本語では「検索エンジン最適化」を意味します。MEOとは、「Map Engine Optimization」の略で、Googleマップを対象とした地図エンジンで最適化を図ることを指します。
SEO対策とは、検索エンジンなどで「〇〇駅」「内科」「おすすめ」といったキーワードで検索した際に、検索結果の上位に自院のサイトが表示されるようにして、検索した人の目の目に留まりやすくするための対策です。
MEO対策は、SEO対策のGoogleマップ版ともいえるものです。Googleマップでは「業種+地域」と検索した際に上位の事業所が表示されるため、そこに自院が入るようにする対策です。患者さんの受診は自宅、あるいは職場に近いエリアが優先されるため、自分のクリニックが存在することをアピールする上では必須の対策といえます。
感染対策徹底のアピールは強く打ち出す
新型コロナウイルスの流行により、世間一般が感染症対策に対して敏感になったことから、院内の感染対策実施のアピールは過剰なほどに行ってもよいかと思います。
空気清浄機・アクリル板設置などは必須であり、ホームページ等でも感染対策を徹底していることをアピールしてください。
また、患者さんの視点からの感染対策として「混んでいない、待ち時間が短い、院内の滞在時間が短い」という点を気にされる方もいらっしゃいます。診療科にもよりますが、風邪症状を取り扱う診療科では特に、他人と接触する時間・空間は極力少なくするような動線確保も重要です。
広告の打ち出し...駅ホームなどの屋外広告
人通りが多い駅の看板や交差点に屋外広告を出すことで、認知度がアップし受診を狙います。患者さんの帰宅経路にクリニックがなくても、自分の居住地域にクリニックがあることを知ってもらいます。
クリニックの内装や、診療内容、クリニックの雰囲気をイメージした色調をベースに、診療科目、診察時間、得意とする治療、利便性(20時まで診療、365日まいにち診療など)をアピールするキーワードを付けておくと、集患・増患につながりやすくなります。
広告の打ち出し...地域の回覧板、チラシ
アナログな手法ではありますが、近隣住民の受診を促す場合、チラシのポスティングや地域の回覧版への差し込みといった方法も有効です。ただし、医師会に入会する場合、紳士協定として「チラシ配布は開院直前1回だけ」といった規定がある場合もあるため要注意です。
広告の打ち出し...バス広告、タクシー広告
クリニックに駐車場が近いなど、診療圏を広めに対応できる診療科や立地であれば、バス広告やタクシー広告を検討してもいいでしょう。また、バスの車内放送での「〇〇クリニック最寄り」といった聴覚に訴えかける音声広告も効果的です。
地域のイベントへの出席も宣伝効果あり
近隣住民の受診を促す場合は、ほかにも、町内の集まりやイベントに参加し、可能であれば出展をすることをおすすめします。地域住民と直接交流することで、以降の病院選びのアドバンテージとなり、来院につながる可能性がありますし、お話ししているうちにニーズのある診療内容などを知ることができれば、その分野を強化することもできます。
ここまで、クリニックの開業にあたっての集患スキームを解説してきました。
次回は、内装・設備のポイント、内覧会の実施方法から開業初期の集患のスキームについてお話します。
株式会社TTコンサルティング
医師 武井 智昭
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