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コラム・インタビュー

シナジー効果で大繁盛・方針の違いでケンカ別れ...クリニックの共同経営のメリット・デメリット

経営・戦略
株式会社TTコンサルティング 医師 武井 智昭

1人でクリニックを開業・管理するのは不安でも、気心の知れた仲間となら開業したいと考える医師もいるでしょう。しかし、共同経営はメリットばかりではありません。今回は、クリニックの共同経営におけるメリットとデメリット、そして経営を成功させるポイントについて解説します。

共同経営のメリット

クリニックの共同経営は、複数の医師や経営者が協力し、より大きな医療提供体制を構築する上で有効な手段です。具体的には、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

①経営資源の集中と効率化

共同経営者が医師なら、医師の人材確保ができるのがメリットです。紹介会社を通じて医師を採用した場合、年収の20~30%程度の紹介料が発生するため、初期投資として300万円〜400万円を超える採用コストが発生します。この費用がカットできるほか、複数の出資者からの資金調達が可能となり、さまざまな医療設備(レントゲン・エコー・心電図・内視鏡など)や、それぞれの人脈によるスタッフの人材確保も容易になります。

②専門知識・経験の共有

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各医師の専門分野や経験を共有することで、より質の高い医療サービスを提供することができます。また、互いに協力して切磋琢磨することで、個々のスキルアップにもつながります。同じ経営者であるパートナーからの客観的な判断が得られることも、共同経営のメリットです。医療機器、事業展開といった重要な経営判断において、1人で悩まず対等な立場で相談できることも大きいでしょう。

③リスク分散

クリニックの共同経営では、1人あたりの売上がアップする可能性が高いといえます。医師が2人いる場合、単純計算で2倍の患者様の診療が対応できるため、診療回転率が大幅に上がります。診療時間の拡大も可能になり、診療報酬が優遇されている夜間・休日の診療の導入も検討できます。

また、経営不能の危険性を避けられる点もクリニック共同経営のメリットです。1人だけで経営している場合、自身の体調不良・病気などが原因で経営を続けるのが難しくなる可能性もありますが、2人で医院開業をすると、1人が診療できなくなっても、もう1人が経営を続けられるため、休診による収入減のリスクを回避できます。

④集患効果

複数の医師がそれぞれの患者様を持つことで、より多くの患者様を集患できるほか、専門性の異なる医師が連携することで、幅広いニーズへの対応も可能になります。診療科の組み合わせ、たとえば2名で複数の診療科をカバーすることにより、来院患者がクリニックにおいて対応できる対象疾患の範囲が高まり、相乗効果が生まれます。「眼科」と「内科」、「内科」と「小児科」、「内科」と「整形外科」などのような組み合わせでは、一層の相乗効果が狙えるでしょう。

共同経営のデメリット

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上述のような大きなメリットがある一方で、懸念すべき問題もあります。

①意見の衝突

経営方針や医療方針に関して、共同経営者間で意見の衝突が起こることがあります。なかでも価値観や経営理念が異なる場合は、対立が深刻化しがちです。この場合、スタッフ・患者様にしわ寄せが行き、あっというまに閉院へと追い込まれることもあります。とくに事業展開をするときに衝突が多い傾向があるといえます。

②責任の所在の曖昧さ

経営上の責任の所在が曖昧になりやすく、トラブルが発生した場合の責任追及が困難になることがあります。

③利益配分の問題

報酬の分配問題が起こり得るのもデメリットです。利益配分に関して共同経営者間で不公平感が生じるリスクがあり、なかでも貢献度や役割分担が明確でない場合は対立の原因となります。医院に複数医師がいる場合、客観的な貢献度による報酬反映は困難です。加えて休暇や業務量なども等しくないため、「自分は休暇が少ない」「自分は残業が多い」「自分は医業収益が高い」などとそれぞれが主張する状況になれば、共同経営者同士の関係悪化につながります。

共同経営を成功させるためのポイント

では、共同経営を円満に行うためには、どんな点に留意すべきなのでしょうか。


①事前の十分な話し合い

共同経営を始める前に、経営方針、医療方針、利益配分、責任の所在などについて、共同経営者間で十分に話し合い、合意形成を図ることが重要です。

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②契約書の作成

話し合いの内容を明確にするため、契約書を作成することが重要です。契約書には、各共同経営者の役割、責任、権利、利益配分などを明確に記載します。特に「共同経営契約書」で仕事配分の条件を交わしておくのが望ましいでしょう。

③経営理念の共有

共同経営者間で経営理念を共有することが重要です。それにより、意見の衝突を減らし、よりスムーズな意思決定を行うことができます。

④定期的なコミュニケーション

共同経営者間で定期的にコミュニケーションを取り、情報共有や意見交換を行うことが重要です。これにより、問題の早期発見や解決につながります。

⑤第三者の活用

必要に応じて、弁護士や税理士などの専門家や、医療コンサルタントなどの第三者を活用します。第三者の客観的な視点からアドバイスを受けることで、より適切な判断を行うことができます。

まとめ

クリニックの共同経営は、メリットとデメリットを理解したうえで慎重に進める必要があります。共同経営を成功させるには、事前の十分な話し合い、契約書の作成、経営理念の共有、定期的なコミュニケーション、第三者の活用などを行うことが重要なポイントとなります。

「1人で経営するよりラクそうだから」「なんとなくウマが合うから」といった程度の理由で、軽々しく実施しないほうが身のためだといえます。

株式会社TTコンサルティング
医師 武井 智昭

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