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クリニック開業お役立ちコラム

体調不良、家庭の事情...クリニックスタッフの「突然の欠勤」をスムーズに調整する業務采配のポイント

採用・教育・労務
社会保険労務士法人WILL 代表社労士・特定社会保険労務士 山本 達矢
体調不良、家庭の事情...クリニックスタッフの「突然の欠勤」をスムーズに調整する業務采配のポイント

クリニック運営において、スタッフが安心して働ける環境整備は非常に重要です。しかし、少人数体制で回している現場においては、体調不良や家庭の事情といった突然の欠勤は、リスク要因となります。1人が抜けるだけで診療や受付、会計などの流れが滞り、患者様への対応に支障を来しますし、穴を埋めるスタッフの負担増が不満につながることもあります。「欠勤は起こらないもの」と考えるのではなく、「いつでも起こり得ること」として備えることが、安定した運営の鍵だといえます。

突然の欠勤がもたらす「現場の混乱」

クリニックは少人数で運営されているところが多く、だれか1人でも欠勤すると業務の一部、あるいは全体の流れが滞ってしまうことがあります。


たとえば、運営にあたって、以下のような状況になったことはないでしょうか。

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・受付スタッフが休んだことで、電話対応や会計処理が回らない
・看護師が休んだことで、診療のサポート業務が遅れ、患者様を待たせてしまう
・電子カルテの操作の熟練者が休んだことで、診察がスムーズに進まない

こうした混乱は、患者様の満足度を下げるリスクとなり、現場のスタッフにも「また私たちがカバーしなければならないのか」という不満を生み、職場の人間関係にも影響を与えます。

欠勤は「防ぐ」より「備える」が現実的

欠勤を最小限に抑えるための配慮や職場環境づくりは大切です。しかし、体調不良や家庭の事情、急な育児・介護対応など、予測不能な事情で休まざるを得ないこともあります。そのため、「欠勤が起こらないようにする」のではなく、「欠勤が起こっても業務が円滑に回るよう備える」ことが、有効なアプローチになります。

以下に、効果的だと考えられる「備え」の方法をご紹介します。

1.業務のマニュアル化と属人化の排除

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「この作業は○○さんしかできない」といった属人化された業務は、欠勤時にリスクになります。だれが休んでも業務が止まらないよう、日常業務をマニュアル化しておくことが重要です。

【体制づくりのポイント】

  • 紙ではなく、クラウド上で共有し、だれでもアクセスできるようにする。
  • マニュアルを生成AIに読み込ませ、いつだれが質問しても要約・説明ができるようにしておく。
  • マニュアル作成の専用システムやツールを活用する。
  • スクリーンショットや動画を活用し、わかりやすくビジュアル化する。
  • 定期的に見直し、内容を現場の実態に即した最新情報に更新する。

業務内容を可視化することで、教育や引き継ぎもスムーズに行えるようになります。

2.さまざまな業務を行えるスタッフの育成

受付・看護・事務といった職種の垣根を完全に取り払うことはできませんが、一部の業務について相互にカバーできる体制をつくることが、欠勤対応の要となります。

【体制づくりのポイント】

  • 看護師が会計処理の基本を理解している。
  • 受付が測定や問診票の確認をサポートできる。

このような状態を目指していけると効果的です。定量化しにくいクリニックの業務ですが、スキルを報酬に反映することで、スタッフのスキルアップにもつながり、モチベーション維持にも好影響を与えます。

3.勤務シフトの柔軟性と「控え人材」の確保

毎日ギリギリの人員で業務を行っていると、だれかが休んだ途端に診療が回らなくなります。あらかじめ少し余裕をもったシフト体制を組むことが重要です。

【体制づくりのポイント】

  • 非常勤スタッフを1名多めに配置しておく。
  • 午前のみ/午後のみなど、短時間の勤務スタッフを有効に活用する。
  • 繁忙時や急な欠勤に対応できる「登録スタッフ」を確保しておく。

このような体制は、人件費の無駄と思われがちですが、突発的な混乱を防ぐ「保険」として大きな価値があります。

4.欠勤対応マニュアルの作成

実際に欠勤が発生した際、対応が場当たり的になってしまうと、かえって混乱を招きます。欠勤時の行動を標準化した「対応マニュアル」を作成しておくのもひとつです。

【体制づくりのポイント】

  • 欠勤時の連絡ルールの策定(連絡先、時間帯、方法など)。
  • 欠勤時の業務分担の切り替え方の明示(だれが代行するかなど)。
  • 患者様への説明や声かけの実例集を作成(待ち時間が発生したときの対応など)。

こうした備えがあることで、スタッフの心理的な安心感も高まり、結果的に離職リスクも軽減されます。

5.欠勤が続くスタッフへの「対応と配慮」

欠勤が続くスタッフに対しては、ほかのスタッフとの関係性を意識しながら、慎重かつ柔軟に対応することが求められます。

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【体制づくりのポイント】

  • 個別面談を行い、体調や家庭事情について丁寧にヒアリングする。
  • 必要に応じて、時短勤務やフレックス勤務を提案する。
  • 他のスタッフには、本人の事情を理解してもらえるよう配慮する。

「だれが悪いのか」という話ではなく、「どうすればその人が無理なく働き続けられるか」を一緒に考えていくことが重要になります。

安定経営の鍵は「人の安心感」と「労務のしくみ」

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突然の欠勤は、どのクリニックでも起こり得ます。それに備えるためには、「しくみ」を整えることが確実な対策です。

たとえば、就業規則等に欠勤時のルールを明記する、業務をマニュアル化して引き継ぎ体制を作る、柔軟な勤務体系を導入するなどです。

こうした取り組みは、スタッフの定着やモチベーション向上、患者様に対するクリニックの品質保持にもつながります。また、スタッフ1人ひとりの事情や働き方に理解を示し、安心して働ける環境を整えることが、結果的に欠勤や離職のリスクを減らし、強い組織づくりにつながっていきます。

「人に困らないクリニック」は、制度と信頼関係の両輪で成り立っています。一度にすべての取組みを行うのはむずかしくても、無理のない範囲でできることからしくみをつくり、よりよい職場環境を整えていきましょう。

社会保険労務士法人WILL 代表社労士
山本 達矢

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監修者

株式会社コスモス薬品

本社を福岡県福岡市に置く東証プライム市場上場。
「ドラッグストアコスモス」の屋号で、九州を中心にドラッグストアチェーンを展開。

2024年5月期決算売上高は9,649億8,900万円。
M&Aを一切行わず、33年連続増収。
日本版顧客満足度指数の「ドラッグストア」において14年連続第1位を獲得。

クリニックの開業サポートにも注力し、2024年8月現在、開業物件店舗数は約350店舗。 集患に有利なドラッグストア併設型物件を全国各地で多数取り扱っている。

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