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クリニック開業お役立ちコラム

クリニックはもはや「リスク産業」?...高金利になりがちな銀行融資への対策

お金の話
株式会社TTコンサルティング 医師 武井 智昭
クリニックはもはや「リスク産業」?...高金利になりがちな銀行融資への対策

安定した事業と考えられていたクリニック経営ですが、近年、とくにポストコロナ以降は「リスク産業」とみられる傾向が強まっています。要因として、2024年のような厳しい診療報酬改定、人件費・維持費・業務委託費・内装工事等の高騰が挙げられます。クリニック向けの融資では、一般的な融資の目安となる年利2.0%を超えるケースが多く、最悪の場合、融資自体が不可能となる事例もあるなど、クリニックの新規開業・設備投資・運転資金の確保に深刻な影響を及ぼしています。このような厳しい状況下、銀行から融資を受けるテクニックを見ていきます。

クリニック経営における高金利融資の現状

近年、金融機関は貸し倒れリスクを慎重に見極める傾向が強まっており、とくにクリニックのような専門性の高い事業に対しても、以前にも増して厳しい審査基準を設けています。その結果、従来の低金利での融資が難しくなり、2.0%を超える金利が提示されることが一般的になっています。

これは、特定の診療科目の過剰競争、地域医療の偏在、あるいは院長の年齢や過去の経営実績に加え、意外かもしれませんが担当の開業コンサルタントや税理士の能力不足など、さまざまな要因が複合的に絡み合って生じています。融資が受けられない場合、開業そのものが断念されたり、必要な設備投資が遅れたりすることで、クリニックの競争力低下を招く恐れがあります。

高金利融資への対策

クリニック経営者が高金利融資のリスクを軽減し、安定した資金調達を行うためには、多角的な対策を講じる必要があります。

1. 徹底した事業計画の策定と提示

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金融機関が最も重視するのは、返済能力の有無です。そのため、融資申請時には、以下の点を網羅した詳細かつ現実的な事業計画を提示することが不可欠です。

収支計画の精緻化
開業後の患者数予測、診療単価、固定費・変動費のシミュレーションを綿密に行い、実現可能な収支計画を提示します。特に、楽観的な見通しは避け、保守的なシナリオも考慮に入れるべきです。銀行側は悪いシミュレーションで融資を判断する傾向が強いです。

資金使途の明確化
融資された資金を何に、いくら使うのかを具体的に示します。設備投資の費用対効果、運転資金の必要性などを論理的に説明できるように準備します。

競合分析と差別化戦略
周辺の競合クリニックの状況を把握し、自院の強みや差別化戦略を明確にすることで、事業の優位性をアピールします。例えば、「小児科に特化し、夜間診療も実施する」「糖尿病専門医として、最新のインスリンポンプ治療を導入する」「呼吸器専門医として睡眠時無呼吸症候群や慢性咳嗽の各種専門的検査などを取り込む」「0歳から100歳まで、あらゆる診療科の初期対応を行い診療の窓口を広げる」などが例となります。

返済計画の具体性
融資を受けた場合の返済スケジュールを具体的に示し、万が一の事態に備えた資金計画(例:開業費用の一部を自己資金で賄う、生命保険の契約者貸付制度の活用など)も盛り込むことにより金融機関に安心感を与えます。

2. 複数の金融機関へのアプローチ

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1つの金融機関に固執せず、複数の銀行や信用金庫に相談することが重要です。金融機関によって審査基準や金利、融資商品の内容は異なるため、比較検討することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。また、地方銀行や信用組合は、地域密着型の融資に積極的な場合もあるため、比較的好条件の融資承認となる傾向があります。ほかにも、医師信用組合などは、医師会入会を前提にした様々なローン商品や審査優遇も用意しており、審査のハードルは銀行より低いです。

3. 公的融資制度の活用

日本政策金融公庫などの公的機関が提供する融資制度は、民間金融機関と比較して低金利で、かつ保証人・担保要件が緩和されている場合があります。特に、新規開業や設備投資を検討しているクリニックにとっては、有力な選択肢となります。医療機関向けの特別な融資制度もあるため、事前に情報収集を行い、活用を検討すべきです。

4. 内部留保の充実とキャッシュフロー経営

高金利融資への依存度を下げるためには、自己資金比率を高める努力が不可欠です。日頃から経営を効率化し、内部留保を充実させることで、外部からの資金調達の必要性を減らすことができます。また、キャッシュフローを重視した経営を計画することで、手元資金の不足を防ぎ、突発的な支出にも対応できる体制を構築できます。

5. 開業コンサルタント・担当税理士の綿密なチェック

銀行は、融資が確実に返済されることを最も重視しています。開業コンサルタントや担当税理士は、クリニックの事業計画の立案から実行、そして経営管理に至るまで、重要な役割を担う外部ブレーンです。

彼らの能力が低ければ、事業計画が杜撰になったり、経営が不安定になったりするリスクが高まります。このため、開業コンサルタントが過去にどれくらいの数のクリニック開業を成功させてきたか、その実績(特に、融資獲得の実績)は銀行にとって大きな判断材料です。医療業界に特化した知識やノウハウを持っているかどうかも重視されます。

銀行との良好な関係を築いているコンサルタントや税理士は、融資交渉をスムーズに進める上で有利に働くことがあります。過去に多くの案件でどのような銀行との取引実績があるか、信頼関係が構築されているかもチェック項目となります。

チームとしての連携もチェックされます。融資希望者である院長予定者のビジョンとコンサルタント、税理士が密に連携し、一貫性のある情報を提供できる体制が整っているかどうかも評価の対象となります。バラバラな情報が出てきたり、意見の食い違いが見られたりすると、銀行は不信感を抱く可能性があります。このため、銀行はこれらの専門家が信頼に足る人物であり、事業の成功に貢献できる能力を持っているかを総合的に判断しようとするのです。

6. 院長のキャリア・管理者としての能力

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院長のキャリアは、銀行がクリニックへの融資を審査する上で、重要なチェックポイントの1つです。その理由として、クリニックの成功は、他ならぬ院長自身の医療技術、経営能力、そして人間性にかかっているからです。銀行は、融資した資金が確実に返済されるかどうかを判断するために、院長の「人となり」と「能力」を多角的に評価しようとします。

診療科目の専門性
開業する診療科目の専門医・指導医資格を持っているか、その分野での臨床経験が豊富であるか、これまで何例の対応をしてきたか、医師としての実務経験が何年あるか、どのような医療機関(大学病院、総合病院、地域のクリニックなど)で、どのような症例を経験してきたかが見られます。単に年数が長いだけでなく、特定の分野での深い専門性と幅広い症例に対応できる経験がある方が評価されます。
また最新の医療技術・知識・治療法に関する知識があるか、それを自身のクリニックに積極的に導入しようとする意欲があるかも評価ポイントとなります。これは、将来的なクリニックの競争力に直結するためです。これ以外にも以下がチェックされます。

危機管理能力
経営上のリスク(例:患者数が伸び悩む、医療訴訟のリスクなど)に対する認識があり、それに対する具体的な対策を考えているか。

数字への意識
収支や資金繰りに対する関心があり、経営数字を理解しようとする姿勢があるか。

人間性とコミュニケーション能力
院内スタッフや他施設との連携が可能か、患者対応にふさわしい人材か

まとめ

クリニック経営における高金利融資のリスクは、今後も継続する可能性があります。しかし、綿密な事業計画の策定、複数の金融機関へのアプローチ、公的融資制度の活用、専門家との連携、そして自己資金比率の向上といった多角的な対策を講じることで、そのリスクを最小限に抑え、安定したクリニック経営を実現することが可能です。なにより、開業予定者である院長とそのバックボーンであり長期にわたって伴走していく開業コンサルタント・担当税理士の能力は、近年重要視される傾向になっています。このため、この2名の人選も融資実行という大きなハードルを乗り越えるためには見極めが重要です。また、院長自身のキャリアや経営者としての資質も推し量られます。

株式会社TTコンサルティング
医師 武井 智昭

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監修者

株式会社コスモス薬品

本社を福岡県福岡市に置く東証プライム市場上場。
「ドラッグストアコスモス」の屋号で、九州を中心にドラッグストアチェーンを展開。

2024年5月期決算売上高は9,649億8,900万円。
M&Aを一切行わず、33年連続増収。
日本版顧客満足度指数の「ドラッグストア」において14年連続第1位を獲得。

クリニックの開業サポートにも注力し、2024年8月現在、開業物件店舗数は約350店舗。 集患に有利なドラッグストア併設型物件を全国各地で多数取り扱っている。

弊社が開業支援をさせていただきました

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コスモス薬品が運営するドラッグストアは、日常生活に必要なものが何でも揃う生活の拠点となるお店。
その地域で便利に安心して暮すために欠かせない、電気や水道のような社会インフラであるお店。
そこに専門性が高いクリニックが加われば、さらに「豊かな生活」を提供することができます。
コスモス薬品は、地域医療の担い手である開業医を全力でサポートしてまいります。
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集患有利なドラッグストア併設の医療物件を多数取り扱っております。
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