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クリニック開業お役立ちコラム
クリニック経営が暗礁に乗り上げた...都心部のクリニックの事例に学ぶ「追加融資」成功戦略
都心部でのクリニック経営は、高額な開業費用、エリアによっては激戦となる多数の競合の存在、人件費の高騰など、多くの課題を抱えています。実際に、最初の融資だけでは立ち行かなくなり、追加融資が必要となるケースも少なくありません。しかし、一度経営が傾きかけると、金融機関からの信頼を失い、経営再建目的の追加融資のハードルは格段に上がります。ここでは、実際に都心部のクリニックが経営難に陥りながらも、追加融資に成功しV字回復を遂げた事例を参考に、戦略を深掘りしていきます。
事例から学ぶ失敗の兆候と初期対応
東京都23区内の地下鉄の駅チカ(徒歩0分)に開業したAクリニックは、最新の医療機器を導入し、内装にもこだわった上品なクリニックでした。しかし、開業当初から集患が伸び悩み、開業して6ヵ月経過しても思うような患者増加は見られず、運転資金が枯渇し始めました。失敗の兆候として顕著だったのは、以下の点です。

過大な設備投資
最新機器の導入は魅力的ですが、初期投資が過大になり、運転資金を圧迫しました。
マーケティング不足
「よい医療を提供すれば患者は来る」という思い込みから、積極的な集患戦略を立てていませんでした。
人件費の高騰
都心部ゆえにスタッフの給与水準が高く、集患不足のなかで人件費が重荷となりました。
資金繰り計画の甘さ
開業後のキャッシュフロー予測が楽観的すぎました。
Aクリニックの院長は、これらの兆候を感じながらも、「もう少しすれば患者は増えるだろう」と楽観視し、初期対応が遅れてしまいました。 気づいたときには手元資金が底をつきかけていたのです。
金融機関との信頼回復と追加融資への道筋
追加融資に成功するうえで最も重要だったのは、金融機関との信頼回復でした。Aクリニックは、以下のステップで信頼を再構築し、追加融資を獲得しました。
ステップ1 現状の徹底的な分析と問題点の明確化

まず、Aクリニックの院長は、自身の経営状況を徹底的に分析しました。具体的には、以下の項目を詳細に洗い出しました。
月ごとの患者数と単価の推移
集患が伸び悩んでいる原因を数値で把握しました。診療科は一般内科でありましたが、単価が4,500円(内科平均で5,400円)と低く、立ち位置としては「地域の保健室」であり継続的な診療につなげていませんでした。
収益と費用の内訳
どの費用が過大なのか、どこを削減できるのかを明確にしました。多くは人件費やリースといえど設備投資となりました。
キャッシュフローの状況
現金がどのように流れているのか、いつ資金が底をつくのかを正確に把握しました。
この分析結果に基づき、なぜ経営が暗礁に乗り上げたのか、その根本的な原因を明確にしました。 感情的にならず、客観的な事実に基づいて説明できる準備を整えたのです。
ステップ2 再建計画の策定と具体的な改善策の提示
現状分析の結果を踏まえ、具体的な再建計画を策定しました。この計画には、以下の要素を盛り込みました。
→地域の診療圏の再評価とニーズの洗い出し
都心部の競合環境を考慮し、改めて周辺地域の人口構成、年齢層、他クリニックの専門性などを徹底的に調査しました。その結果、周辺に呼吸器内科の専門クリニックが少ないこと、またオフィス街も近いことから季節性アレルギーや喘息の潜在ニーズが高いことを特定しました。 このニーズに基づき、呼吸器内科診療を強化することで差別化を図りました。
→Webマーケティングの強化
クリニックの強みを明確に打ち出したホームページのリニューアル、各年代をターゲットとしてXやFacebookなどの複数のSNSを活用した情報発信、オンライン予約システムの導入などを行いました。
→地域連携の強化
周辺の総合病院や介護施設との連携を強化し、顔がみえる関係を作るため、医師会主催の講演会などに積極的に出席して、逆紹介患者の増加を目指しました。
→人件費の見直し
シフトの見直しや業務効率化による残業時間の削減、一部業務のアウトソーシングを検討しました。
→消耗品の見直し
仕入れ先の再検討やジェネリック医薬品の積極的な活用などを行いました。
→賃料交渉
貸主との交渉により、6ヵ月間の一時的な賃料減額に成功しました。
追加融資を受けた場合の、より現実的な返済スケジュールを提示しました。この際、漠然とした目標ではなく、具体的な数値目標と実行スケジュールを盛り込むことが重要です。例えば、「患者数を〇ヵ月で〇%増加させる」「〇ヵ月以内に〇円のコスト削減を達成する」といった具体的な目標を設定しました。
ステップ3 人件費問題への具体的な対処戦略
都心部での人件費の高さは避けられない課題ですが、Aクリニックは以下の対策を講じ、金融機関への説得力を高めました。
人件費の徹底分析と可視化
総売上に対する人件費の割合(人件費率)や、スタッフごとの給与・労働時間・残業代を細かく把握しました。業務内容を洗い出し、無駄な業務や重複を削減しました。
業務効率化による残業削減
電子カルテや予約システムの導入、業務マニュアルの整備により、スタッフの残業時間を削減しました。
シフト見直しと最適な人員配置
時間帯や曜日ごとの患者数に合わせて人員を配置し、人件費を削減しました。
自費診療の導入拡大
→ニーズの把握と専門性の強化
周辺の患者層や競合を調査し、ニーズの高い美容皮膚科や近年注目しているメディカルダイエット、自由診療・自費診療を拡大しました。
→情報発信とスタッフ教育
WebサイトやSNSで積極的に情報発信し、スタッフの知識・カウンセリングスキルを向上させました。
オンライン診療の導入拡大
→システム導入と広報
適切なオンライン診療システムを導入し、遠隔地からの患者獲得や利便性向上を目指して広報を強化しました。
→対象疾患の選定
主には自費診療ではありましたが、オンライン診療に適した疾患を明確にし、患者の混乱を防ぎました。
一時的な診療時間の短縮
→患者への影響最小化
診療時間を一時的に短縮することで人件費を抑制。患者には十分な事前告知を行い、予約システムなどで混乱を回避しました。
→効率的な運営
短縮時間内で効率的な診療が行えるよう、業務フローを見直しました。これはあくまで一時的な措置であり、経営改善後に元に戻す計画を提示しました。
ステップ4 金融機関への迅速かつ正直な報告
最も重要なのは、金融機関への迅速・正確な報告です。資金繰りが悪化していることを隠したり、虚偽の報告をしたりすることは、絶対に避けるべきです。Aクリニックの院長は、手遅れになる前にメインバンクの担当者に連絡を取り、現状の厳しい状況と、自身が策定した再建計画について包み隠さず説明しました。

この際、自身の反省点も率直に伝え、今回の経営危機を乗り越えるために全力を尽くす覚悟を示すことが、金融機関の担当者に響いて、追加融資を承認いただきました。
ステップ5 複数金融機関への相談と専門家の活用
メインバンクだけでなく、複数の金融機関に追加融資の可能性を打診することも有効です。Aクリニックは、信用保証協会を通じた融資や、他の銀行系金融機関にも相談しました。
また、Aクリニックの院長は、経営コンサルタントや税理士などの専門家に相談し、再建計画の客観的な評価や、金融機関向けの資料作成のサポートを受けました。専門家の視点を取り入れることで、計画の実現可能性が高まり、金融機関からの信頼度も向上しました。
追加融資成功後のV字回復と持続的成長
追加融資に成功したAクリニックは、策定した再建計画を着実に実行しました。特に、診療圏の再評価による呼吸器内科診療の強化、発熱外来の対応、Webマーケティングの強化、専門性の高い診療への特化が功を奏し、患者数は着実に増加。自費診療の導入とオンライン診療の活用も相まって、収益は大幅に改善し、見事V字回復を遂げました。
追加融資成功後のAクリニックは、以下の点を常に意識することで、持続的な成長を実現しています。
定期的な経営状況のモニタリング
毎月の経営状況を詳細に分析し、計画との差異を早期に発見・修正しています。
柔軟な経営戦略
市場の変化や患者ニーズに合わせて、常に最適な経営戦略を模索しています。
危機管理体制の構築
万が一の事態に備え、リスクマネジメント体制を構築しています。
まとめ
一度傾いた経営を立て直すのは容易ではありませんが、諦めずに現実と向き合い、適切な戦略を実行することで、必ず道は開けます。今回のAクリニックの事例が、現在経営に悩む多くのクリニック経営者の方々にとって、希望の光となることを願っています。
株式会社TTコンサルティング
医師 武井 智昭
監修者
株式会社コスモス薬品
本社を福岡県福岡市に置く東証プライム市場上場。
「ドラッグストアコスモス」の屋号で、九州を中心にドラッグストアチェーンを展開。
2024年5月期決算売上高は9,649億8,900万円。
M&Aを一切行わず、33年連続増収。
日本版顧客満足度指数の「ドラッグストア」において14年連続第1位を獲得。
クリニックの開業サポートにも注力し、2024年8月現在、開業物件店舗数は約350店舗。 集患に有利なドラッグストア併設型物件を全国各地で多数取り扱っている。
弊社が開業支援をさせていただきます
コスモス薬品が運営するドラッグストアは、日常生活に必要なものが何でも揃う生活の拠点となるお店。その地域で便利に安心して暮すために欠かせない、電気や水道のような社会インフラであるお店。
そこに専門性が高いクリニックが加われば、さらに「豊かな生活」を提供することができます。
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