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クリニック開業お役立ちコラム
医者の生涯年収はいくら?勤務医・開業医の違いと開業時期による収入差を解説
医者は高収入の職業というイメージがありますが、生涯年収は働き方によって大きく変わります。勤務医として定年まで働く場合と、途中で開業する場合では、収入の積み上がり方が異なるためです。
勤務医は給与収入を安定的に得やすい一方、開業医は経営が軌道に乗れば高い収入を目指せる可能性があります。ただし、開業には初期投資や借入返済、固定費、集患などのリスクもあるため、単純に年収だけで比較することはできません。
本記事では、厚生労働省の公的データをもとに医者の生涯年収の目安を整理し、勤務医と開業医の収入構造の違いや、開業時期による収入差、生涯年収を考える際の注意点を解説します。
医者の生涯年収はどれくらいか
医者の生涯年収は、勤務医として働き続けるか、途中で開業するかによって大きく変わります。勤務医は勤務先から給与を得る働き方であり、年齢や役職、勤務先、当直・時間外勤務の有無などによって年収が変動します。
一方、開業医は医業収益から人件費や家賃、医療機器費、借入返済などを差し引いた利益や院長給与が収入に関わるため、経営状況によって生涯年収に差が出やすい点が特徴です。
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」の医師の年齢階級別賃金をもとに試算すると、25~64歳まで勤務医として働いた場合の生涯年収は約6.2億円となります。これは、各年齢階級の「きまって支給する現金給与額」と「年間賞与その他特別給与額」から年収を算出し、勤務年数分を積み上げた概算です。
ただし、この金額は平均賃金をもとにした単純試算であり、実際の生涯年収は勤務先、診療科、役職、地域、当直・時間外勤務、転職の有無などによって変わります。
医者の生涯年収は働き方によって大きく変わる
医者の生涯年収を左右する大きな要素が、勤務医として働くか、開業医になるかという働き方の違いです。
勤務医は、病院や診療所などに雇用され、給与収入を長期的に積み上げる働き方です。毎月の給与や賞与が収入の中心となるため、比較的収入の見通しを立てやすく、安定性が高い点が特徴です。
一方、開業医は、医業収益から経費を差し引いた利益や院長給与が収入に関わります。患者数が安定し、固定費や人件費を適切に管理できれば、勤務医より高い収入を目指せる可能性があります。ただし、開業には初期投資や借入返済、スタッフ採用、集患などの経営リスクも伴うといえるでしょう。
勤務医・開業医・役職・診療科で収入構造が異なる
医者の生涯年収は、単に「医師だから高い」と一括りにはできません。勤務医の場合、収入の中心は勤務先から支払われる給与です。年齢や経験年数に加えて、勤務先の種類、役職、当直や時間外勤務の有無、専門医資格、診療科なども年収に影響します。
開業医の場合は、患者数、診療単価、固定費、人件費、借入返済、経営規模などが収入に直結します。医業収益が大きくても、家賃や人件費、医療機器費、広告宣伝費などの負担が大きければ、院長の収入は少なくなる可能性があります。
また、診療科によって必要な設備投資やスタッフ体制、患者数、診療単価は異なります。このような収益構造の違いが、単年の年収だけでなく、生涯年収にも影響します。
年収だけでなく勤務年数とキャリア選択で考える必要がある
生涯年収を考える際は、単年の年収だけで判断しないことが重要です。年収が高くても、その収入を得られる期間が短ければ、生涯年収は大きく伸びない可能性があります。
勤務医として定年まで働く場合は、給与収入を継続的に得ていくことになります。途中で開業する場合は、開業前の勤務医としての収入に加え、開業後の院長給与や利益を積み上げていく形になります。
開業時期が早ければ、開業医として収益を得られる期間は長くなりますが、初期投資や借入返済、集患が計画どおりに進まないリスクもあります。そのため、医者の生涯年収を考える際は、年収額だけでなく、勤務年数、開業時期、経営リスクまで含めて比較する必要があります。
開業医になった場合の生涯年収

開業医になった場合の生涯年収は、勤務医のように給与を積み上げるだけではなく、開業後の経営状況によって大きく変わります。勤務医は勤務先から支払われる給与や賞与が収入の中心ですが、開業医はクリニックの医業収益から各種費用を差し引いた後の利益や、医療法人であれば院長給与をもとに考える必要があります。
厚生労働省「第25回医療経済実態調査の概要(令和7年11月26日版)」では、令和6年度の一般診療所・医療法人における院長の平均給料計は2,897万円、中央値は2,280万円と示されています。これは医療法人のデータであり、個人診療所の場合は収益構造が異なります。
仮に、開業後にこの水準の院長給与を20年、30年と継続できれば、生涯年収を大きく伸ばせる可能性があります。ただし、これは医療法人の院長給与に関する統計であり、すべての開業医にそのまま当てはまるわけではありません。実際の収入は、開業時期、働ける年数、診療科、患者数、経営規模、固定費、借入返済などによって変動します。
そのため、開業医の生涯年収を考える際は、「平均年収が高いかどうか」だけでなく、どの時期に開業し、何年間その収益を維持できるかを含めて試算することが重要です。
開業医は医業収益から経費を差し引いた利益で考える
開業医の収入を考える際は、医業収益そのものを年収と捉えないことが大切です。クリニックには、診療によって得られる医業収益がある一方で、人件費、家賃、医療機器費、医薬品費、システム費、広告宣伝費、借入返済などの支出が発生します。
医業収益が高いクリニックであっても、固定費や返済負担が大きければ、院長の収入は想定より少なくなる可能性があります。開業医の生涯年収は、売上規模だけではなく、経費を差し引いた後にどれだけ利益を確保できるかで判断する必要があります。
開業時期が早いほど収益を得られる期間が長くなる
開業医の生涯年収は、開業後の年収水準と、開業医として働ける年数によって変わります。同じ年収水準であれば、早い時期に開業した方が、開業医として収益を得られる期間は長くなります。
一方で、若い時期の開業には、自己資金が十分に準備できていない、経営経験が少ない、金融機関からの借入負担が重くなりやすいなどの課題もあります。開業時期を考える際は、年齢だけで判断するのではなく、資金計画、診療経験、地域ニーズ、家族状況、経営リスクを含めて検討することが大切です。
診療科や患者数、経営規模によって年収差が出る
開業医の年収は、診療科、患者数、診療単価、固定費、スタッフ体制、経営規模によって大きく変わります。診療科によって、必要な設備投資や診療時間、スタッフ数、検査体制、患者1人あたりの診療単価が異なるためです。
保険診療中心のクリニックでは、患者数の確保と運営効率が収益を左右しやすくなります。また、同じ診療科であっても、立地や競合状況、スタッフ採用、診療時間、広告宣伝の設計によって経営状況は変わります。
開業医は高収入を目指せる一方で経営リスクもある
開業医は、勤務医より高収入を目指せる可能性があります。特に、患者数が安定し、固定費や借入返済を適切に管理できているクリニックでは、長期的に大きな収入を得られるケースも少なくありません。
ただし、開業すれば必ず収入が増えるわけではありません。患者数が想定より伸びない場合や、固定費が過大な場合は、医業収益があっても利益が残りにくくなります。開業医の生涯年収を考える際は、収入の上振れだけでなく、赤字リスクや資金繰り悪化の可能性も含めて判断することが重要です。
医者の生涯年収に差が出る要因
医者の生涯年収は、診療科、勤務先、役職、開業時期、立地、患者数、初期投資、固定費など、さまざまな要因によって変わります。勤務医は給与収入を積み上げる働き方であり、開業医は医業収益から経費を差し引いた利益や院長給与をもとに考える必要があります。
主な要因は、以下のとおりです。
| 要因 | 生涯年収への影響 |
|---|---|
| 診療科 | 患者数、診療単価、必要設備、人件費、材料費などが異なり、収益構造に差が出る |
| 勤務先・役職 | 勤務先の給与体系や役職、当直・時間外勤務の有無によって年収が変わる |
| 開業時期 | 早い時期に開業するほど収益を得られる期間は長くなるが、資金面や経営面のリスクもある |
| 立地・患者数 | 地域の医療ニーズや競合状況に合わないと、想定患者数を確保しにくい |
| 初期投資・固定費 | 借入返済や固定費が大きいと、医業収益があっても利益が少なくなる |
厚生労働省「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)」では、一般診療所・個人・入院診療収益なしの1施設当たり損益として、診療科別の医業収益、医業・介護費用、損益差額が示されています。同資料では、全体の医業収益は8,841万円、医業・介護費用は6,292万円、損益差額は2,584万円です。
診療科別の損益差額を見ると、内科は2,444万円、小児科は3,239万円、精神科は2,148万円、外科は2,514万円、整形外科は2,761万円、耳鼻咽喉科は3,418万円など、診療科によって差があります。
ただし、これらの数字は院長個人の手取りや生涯年収そのものではありません。特に個人の診療所では、損益差額の中に開設者である院長の報酬相当分が含まれる形で示されるため、医療法人の院長給与と同じように比較することはできません。あくまで、診療科によって収益構造や利益の残り方に違いがあることを把握するための参考資料として見る必要があります。
勤務医の年収も、勤務先や役職によって変わります。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」では、職種別・年齢階級別の医師の賃金データを確認できます。同調査の年齢階級別データをもとに試算すると、医師の年収は25~29歳で約757万円、35~39歳で約1,470万円、45~49歳で約1,703万円、55~59歳で約1,889万円となります。
このように、勤務医の年収は年齢やキャリア段階に応じて上昇しやすい傾向があります。一方、開業医は開業時期、立地、患者数、固定費、借入返済によって収入が大きく変動します。生涯年収を考える際は、単年の年収だけでなく、その収入を何年得られるか、経費や返済を差し引いた後にどれだけ収入があるかを確認することが重要です。
生涯年収を高めるには開業前の収益設計と立地選びが重要

医者の生涯年収を高めるうえで、開業は有力な選択肢の一つです。勤務医として給与収入を積み上げる働き方に比べて、開業医は経営が軌道に乗れば収入を伸ばせる可能性があります。
一方で、開業には初期投資、借入返済、固定費、集患、人材採用などの経営リスクも伴います。開業すれば必ず生涯年収が高まるわけではないため、収入の上振れと赤字・資金繰り悪化のリスクを両方踏まえて判断することが大切です。
開業前に確認しておきたい主な項目は、以下のとおりです。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 収益設計 | 想定患者数、診療単価、固定費、借入返済額、院長の収入 |
| 初期投資・運転資金 | 内装工事費、医療機器費、広告宣伝費、開業直後の支払い余力 |
| 診療圏調査 | 人口構成、年齢層、受療率、生活動線、地域ニーズ |
| 競合分析 | 周辺クリニックの診療内容、診療時間、立地、患者層 |
| 立地選び | 視認性、アクセス、駐車場、生活動線との相性 |
特に重要なのは、希望する年収から逆算して、必要な患者数や固定費、返済後の利益を具体的に試算することです。感覚だけで物件を選ぶと、開業後に想定した患者数を確保できず、収益計画にずれが生じる可能性があります。
その点で、ドラッグストア併設・近接立地は、開業物件として検討しやすい選択肢です。買い物や薬の受け取りなどで地域住民が日常的に利用する場所に近いため、開業初期からクリニックの存在を認知してもらいやすくなります。また、薬局としての医療連携も図りやすく、幅広い診療科にとって、地域住民との接点を作りやすい立地といえます。
医者の生涯年収に関するよくある質問
医者の生涯年収はいくらですか?
医者の生涯年収は、働き方や勤務年数によって異なります。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」の医師の年齢階級別賃金をもとに試算すると、25~64歳まで勤務医として働いた場合の生涯年収は約6.2億円です。ただし、勤務先、診療科、役職、当直・時間外勤務、地域などによって実際の金額は変動します。
勤務医と開業医ではどちらの生涯年収が高いですか?
一概にはいえませんが、開業医の方が生涯年収を高められる可能性はあります。勤務医は給与収入を安定的に積み上げる働き方である一方、開業医は医業収益から経費を差し引いた利益や院長給与をもとに考える必要があります。開業医は高収入を目指せる反面、初期投資、借入返済、固定費、集患などの経営リスクもあります。
医師は何歳で開業すると生涯年収が高くなりやすいですか?
生涯年収だけで見れば、早い時期に開業した方が、開業医として収益を得られる期間は長くなります。ただし、若い時期の開業は自己資金や経営経験が不足しやすく、借入返済や集患のリスクも大きくなりやすい点に注意が必要です。開業時期は年齢だけでなく、資金計画、診療圏調査、競合状況、家族状況、経営負担を含めて判断しましょう。
開業医の年収は診療科によって違いますか?
開業医の年収は、診療科によって異なります。厚生労働省「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)」では、一般診療所・個人・入院診療収益なしの1施設当たり損益として、診療科別の医業収益、医業・介護費用、損益差額が示されています。診療科ごとに患者数、診療単価、必要設備、人件費、材料費などが異なるため、収益構造や収入にも差が出ます。
開業すると必ず勤務医より高い収入を得られますか?
開業すれば必ず勤務医より高い収入を得られるわけではありません。開業医は収入を伸ばせる可能性がある一方、患者数が想定より伸びない場合や固定費・借入返済が大きい場合は、利益が少なくなる可能性があります。開業を検討する際は、収入の上振れだけでなく、赤字リスクや資金繰り悪化の可能性も含めて判断することが重要です。
医者の生涯年収は働き方と開業時期で大きく変わる
医者の生涯年収は、勤務医として働き続けるか、途中で開業するかによって大きく変わります。勤務医は安定した収入を得やすい一方で、役職や勤務先によって収入の上限が見えやすい面があります。一方、開業医は経営次第で高い収入を目指せる可能性がありますが、初期投資、借入返済、固定費、患者数、集患力などによって収入は大きく変動します。
特に重要なのは、開業時期と開業前の収益設計です。早い時期に開業すれば収益を得られる期間は長くなりますが、その分、資金計画や診療圏調査、競合分析、立地選びを慎重に行う必要があります。生涯年収を高めるには、単に年収額を比較するのではなく、働ける期間、開業リスク、将来の経営安定性まで含めて判断することが大切です。
ドラッグストア併設・近接立地は、地域住民との日常的な接点を作りやすく、薬局との医療連携も図りやすいため、幅広い診療科にとって開業物件として検討しやすい選択肢です。
開業・経営の成功には、立地や集患設計、地域連携など、診療以外の要素も大きく影響します。
コスモス薬品では、ドラッグストア併設・近接立地を中心とした物件のご提案や、広告宣伝の支援、薬局としての医療連携を通じて、クリニック運営をサポートしています。
開業支援や各種専門領域については、取引先の開業支援部門とも連携し、先生方の状況に応じた支援体制を構築しています。開業を検討されている先生は、お気軽にご相談ください。
医療経営コンサルタント
土光 宜行
医療業界にて経営支援およびマーケティング業務に従事。
開業支援、医療制度、集患戦略などを専門領域とし、現場経験とデータに基づいた実践的な情報発信を行っている。
医療機関が将来を見据えた意思決定を行えるよう、制度動向や経営課題をわかりやすく解説。
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