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クリニック開業お役立ちコラム
医師の労働時間はどれくらい?診療科別データと働き方の違い
医師の働き方は「忙しい」という印象で語られることが多いものの、実際にどれほどの時間を働いているのかを具体的なデータで把握している方は多くありません。診療科や勤務形態、キャリア段階によって労働時間には大きな差があり、同じ「医師」という立場でも時間の使い方は大きく異なります。
厚生労働省の調査では、病院常勤勤務医の週平均労働時間は50時間台後半に達し、60時間を超える診療科も存在します。さらに、当直やオンコールといった拘束時間は、実働時間以上に生活へ影響を与える要因となっています。
本記事では、医師の労働時間の実態を診療科別データとともに整理し、勤務医と開業医の働き方の違いにも触れながら、ワークライフバランスの視点でキャリアをどのように設計すべきかを解説します。
医師の労働時間の実態
医師の働き方は「忙しい」という印象だけで語られがちですが、実際の労働時間をデータで確認すると、その負担構造がより具体的に見えてきます。ここでは、統計データをもとに医師の労働時間の実態を整理します。

医師の平均的な勤務時間
厚生労働省「医師の勤務実態について」(令和5年)によると、病院常勤勤務医の中には週60時間以上勤務している医師が一定割合存在しています。
さらに、時間外・休日労働が年1,860時間相当に達する水準にある層も確認されています。これは、月平均で約155時間、1カ月あたりおよそ週35~40時間分の残業・休日労働にあたる計算であり、通常のフルタイム勤務に近い時間が時間外として上乗せされていることを意味します。
他職種と比較しても、医師は長時間労働の割合が高い傾向にあります。特に若手医師ほど勤務時間が長くなる傾向がみられ、20~30代では週60時間前後に達するケースも少なくありません。
重要なのは、診療時間だけが労働時間ではないという点です。カンファレンス、症例検討、カルテ入力や書類作成などの記録業務も労働時間に含まれます。そのため、「平均値」だけを見るのではなく、長時間労働層が一定数存在していることこそが実態を示すポイントといえます。
長時間労働が生まれる背景
医師の長時間労働は、単に「勤務時間が長い」という表面的な問題ではなく、業務の構造自体に要因があります。
医師の仕事は、外来診療だけで完結しません。病棟管理、手術、救急対応などが同時並行で進み、複数の役割を担う必要があります。これらの業務が重なり合うことで、勤務時間は自然と延びやすくなります。
さらに、医師不足や地域偏在の影響により、特定の医療機関や診療科に業務負担が集中するケースも少なくありません。一人あたりの業務量が増えることで、長時間勤務が常態化しやすい状況が生まれています。
加えて、診療以外の業務も大きな割合を占めています。書類作成やカルテ入力、患者様への説明、後進指導など、医療行為以外に費やす時間も増加傾向にあります。当直や休日出勤が制度上組み込まれていることも、労働時間を押し上げる要因です。
また、診療科によって負担の構造は大きく異なります。手術や救急対応が多い診療科では、夜間・休日対応が増えやすく、外来中心の科目と比べて労働時間が長くなる傾向があります。
このように、医療の特性と人員体制の課題が重なり合うことで、医師の長時間労働は生じているのです。
当直・オンコールが与える影響
医師の労働時間を考える上で、当直やオンコールの存在は欠かせません。常勤医の多くが当直業務に従事しており、月2~4回以上の当直が一般的なケースもみられます。
当直は実働時間だけでなく、待機や緊急呼び出しへの備えといった拘束時間を伴います。オンコール待機の場合も、実際に出動しなくても心理的拘束が発生し、生活への影響は小さくありません。
夜間・休日対応は年間労働時間を押し上げる主要因の一つです。また、高年収条件の求人ほど当直や救急対応の比重が高い傾向があり、収入と拘束時間が連動しやすい構造があります。
そのため、労働時間は「実働時間」だけでなく、「拘束時間」を含めて捉える視点が重要です。医師の働き方を理解するためには、時間の総量と拘束の質の両面から考える必要があります。
診療科と勤務形態で変わる働き方
医師の労働時間は一律ではありません。診療科の特性や勤務形態、さらにはキャリア段階によって大きく変化します。ここでは、厚生労働省「医師の勤務実態について(令和2年)」のデータをもとに、診療科ごとの違いを具体的にみていきます。
診療科ごとの労働時間の違い
全診療科平均でみると、病院常勤勤務医の週平均労働時間は56時間22分です。しかし、診療科別にみると、その差は小さくありません。
| 診療科 | 週平均労働時間 |
|---|---|
| 外科 | 61時間54分 |
| 脳神経外科 | 61時間52分 |
| 救急科 | 60時間57分 |
| 整形外科 | 58時間50分 |
| 産婦人科 | 58時間47分 |
これらの診療科では、手術や救急対応、夜間・休日対応が日常的に発生します。予定外の対応が多く、時間の予測が立てにくいことも特徴です。その結果、診療時間外の業務が増え、労働時間が長くなりやすい構造にあります。
| 診療科 | 週平均労働時間 |
|---|---|
| 精神科 | 47時間50分 |
| 臨床検査科 | 46時間10分 |
| 眼科 | 50時間28分 |
| リハビリテーション科 | 50時間24分 |
外来中心で緊急対応が少ない診療科では、勤務時間が比較的安定しやすい傾向があります。夜間・休日の呼び出しが少ないことも、労働時間の短縮につながっています。
このように、診療科の特性は労働時間に直接影響します。手術や救急を担う科目ほど時間拘束が強くなりやすく、外来中心の科目では時間管理がしやすい傾向がみられます。
勤務医の働き方と時間構造
勤務医の働き方は、診療科だけでなく、年代や性別によっても違いがみられます。ここでは、年代別・性別のデータから時間構造の特徴を整理します。
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| 年代 | 男性医師(週平均) | 女性医師(週平均) |
|---|---|---|
| 20代 | 61時間34分 | 58時間20分 |
| 30代 | 61時間54分 | 51時間42分 |
| 40代 | 59時間34分 | 49時間15分 |
| 50代 | 56時間16分 | 51時間32分 |
| 60代以上 | 47時間20分 | 44時間44分 |
若手・中堅期ほど勤務時間が長く、特に30代がもっとも長時間となっています。診療の中心世代として外来・病棟・救急対応を多く担うことに加え、当直業務の比重が高いことが背景にあります。
一方で、50代以降は時間が徐々に短縮する傾向がみられます。役割の変化や当直回数の減少などが影響していると考えられます。
女性医師では、30~40代で勤務時間がやや短縮する傾向があります。これは出産・育児などのライフイベントが影響している可能性があります。
| 性別 | 週平均労働時間 |
|---|---|
| 男性 | 57時間35分 |
| 女性 | 52時間16分 |
全年代平均でみても、男性医師のほうがやや長時間となっています。
このように、勤務時間は単に診療科だけで決まるものではなく、年代・性別・キャリア段階によっても変化します。医師の働き方を考える際には、自身がどのライフステージにあるのかという視点も重要です。
働き方の選択肢と柔軟性
労働時間に大きく影響するのが、当直やオンコールの有無です。夜間拘束があるかどうかによって、実労働時間だけでなく、生活リズムや家族との時間の取り方も大きく変わります。
診療科の選択も、将来の働き方に少なからず影響します。救急や手術が多い診療科では夜間対応が組み込まれやすく、外来中心の診療科では時間が比較的安定しやすい傾向があります。
一方で、働き方は固定されたものではありません。非常勤勤務や当直なし勤務、外来中心ポジションなどを選択することで、負担を調整できるケースもあります。
さらに、働き方改革により時間外労働の上限規制が導入され、今後は勤務環境の見直しが進む可能性もあります。
医師の労働時間は、「診療科 × 勤務形態 × キャリア段階」の組み合わせによって形づくられます。平均値にとらわれるのではなく、自身の選択がどのような時間構造につながるのかを意識することが、納得感のある働き方を考える第一歩となります。
勤務医と開業医の労働環境の違い

勤務医と開業医では、同じ医師でも「時間の使い方」と「責任の範囲」が大きく異なります。勤務医は組織の中で診療に専念する立場である一方、開業医は診療に加えて経営判断も担います。
ここでは、それぞれの働き方の違いを整理します。
勤務医の時間配分と負担
「医師の勤務実態について(令和2年)」によると、病院常勤勤務医の週平均勤務時間は56時間22分です。一般的な労働時間と比べても長時間傾向にあります。
診療科別では、外科61時間54分、脳神経外科61時間52分、救急科60時間57分と60時間を超える科目もあります。一方、精神科47時間50分など、科目差も大きい点が特徴です。
年代別では20~30代がもっとも長時間となり、男性30代は61時間54分、女性30代は51時間42分です。専門性の習得や責任拡大が重なる時期であり、負担が集中しやすい時期といえます。
業務は外来に加え、病棟管理、救急対応、当直、書類作成など多層的です。さらに「医師の勤務実態について(令和5年)」では、約3.6%の医師が年1,920時間超の時間外労働水準に該当すると報告されています。収入増加は当直やオンコール増加と連動しやすく、高収入ほど拘束時間が長くなる傾向もあります。
開業医の時間管理と経営業務
開業医は、救急指定がなければ原則当直はありません。そのため、夜間拘束は減りやすい傾向にあります。
ただし、診療以外に経営業務が加わります。人材管理、資金管理、設備更新、集患戦略など、多岐にわたる判断が必要です。
診療時間や休診日は自ら設計できますが、その配分は経営判断と直結します。外来枠をどう設定するか、検査時間をどう確保するかによって、日々の働き方は変わります。
開業医は「医療」と「経営」の二軸で時間を使う働き方といえます。
時間の自由度と責任のバランス
勤務医は時間拘束が強い一方、経営責任は限定的です。一方、開業医は診療時間を調整できますが、経営責任は全面的に負います。
重要なのは、「自由度が高い=負担が少ない」わけではないという点です。
働き方は
- 拘束時間
- 責任範囲
- 収入構造
のバランスで決まります。
ワークライフバランスを考える際も、単なる労働時間の長短ではなく、「時間の裁量」をどれだけ持てるかが重要です。
ワークライフバランス視点で考えるキャリア設計
医師の働き方は、単に労働時間の長さだけで評価できるものではありません。診療科の特性や当直体制、収入構造、さらには時間の裁量権の有無によって、日々の負担や生活の質は大きく変わります。
ワークライフバランスを考える上では、「どれだけ働いているか」だけでなく、「どのように時間を使えているか」という視点が欠かせません。
長時間労働の影響を整理した上で、勤務医・開業医それぞれの選択肢を踏まえながら、持続可能なキャリア設計の考え方を解説します。
長時間労働がもたらす影響と課題
「医師の勤務実態について(令和2年)」によると、病院常勤勤務医の週平均勤務時間は56時間22分とされています。外科61時間54分、脳神経外科61時間52分など、60時間を超える診療科もあり、長時間労働が常態化している領域も少なくありません。さらに、「医師の勤務実態について(令和5年)」では、年1,920時間超の時間外労働水準に該当する医師が一定数存在すると報告されています。
当直やオンコールは実労働時間に加え、呼び出しに備える心理的な拘束時間も生みます。その結果、身体的疲労だけでなく、判断力や集中力の低下といった意思決定負担の蓄積にもつながります。家庭や育児、自己研鑽との両立が難しくなるケースも多く、高収入条件ほど当直・救急対応が増える傾向があるため、「高収入=高負担」となりやすい構造にも注意が必要です。
働き方を見直すための視点
ワークライフバランスを考える際に重要なのは、労働時間の総量だけではなく、「時間の裁量」です。同じ60時間勤務であっても、自ら選択した時間配分と、組織に組み込まれた時間配分とでは、体感や満足度は大きく異なります。
勤務医であっても、当直免除、外来中心勤務、専門特化型ポジションなど、条件を調整できる選択肢は存在します。年収・専門性・生活設計のうち、何を優先するのかを整理することが重要です。キャリアは自然に決まるものではなく、自ら設計するものという視点が求められます。中長期で働き方を再設計する発想が、持続可能な医師人生につながります。
開業という働き方
開業は「完全な自由」ではありませんが、「時間設計の裁量」を持てる働き方の一つです。救急や当直のない診療体制を構築すれば、夜間拘束を抑えやすくなります。また、診療時間や休診日を自ら決定できる点は大きな特徴です。
一方で、人材管理、資金管理、設備更新、集患戦略などの経営業務が新たな責任として加わります。立地や患者動線の設計は来院数や時間効率に直結し、日々の働き方を左右します。医療連携や支援体制を活用することで準備負担を軽減することも可能ですが、医療と経営の両視点を持つことが前提となります。
開業は時間の自由度を高める選択肢の一つですが、その実現には現実的な準備と戦略的な設計が不可欠です。
医師の労働時間を踏まえたキャリア設計
医師の労働時間は、全診療科平均で週56時間を超え、外科や救急科では60時間を上回るなど、依然として長時間傾向にあります。さらに、当直やオンコールといった拘束時間は実労働時間以上の負担を生み、若手・中堅期にその影響が集中しやすい傾向があります。
重要なのは、労働時間の「長さ」だけでなく、「時間の裁量」が働き方の満足度を左右するという点です。勤務医は専門性を高めやすい一方で拘束時間が強くなりやすく、開業医は時間設計の自由度がある反面、経営責任を担います。
どちらが優れているかではなく、「どのような時間の使い方を望むのか」という視点が判断軸になります。
診療科の特性、勤務条件、将来的な選択肢を踏まえ、自身の価値観に沿って時間構造を設計することが、持続可能な医師人生につながります。
開業・経営の成功には、立地や集患設計、地域連携など、診療以外の要素も大きく影響します。
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土光 宜行
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